関西じつわ表紙イラスト集 須磨 ホーム
酒鬼薔薇事件のあった街は、市営神戸地下鉄が地上に出たところにある。モダンな造成地で、都会の延長線上にある。
山の端が変わるほど自然は破壊されており、丘だった場所が宅地になっているため、坂道が多い。その中で通称「タンク山」が孤島のように浮かび上がっている。まるでこの時代の怨念を貯蔵しているような印象だ。
溜まった怨念の水が、タンクから漏れだし、街に流れ込んだのかもしれない。
あの事件での殺害現場には、ミニチュアの玩具とかが供えられていた。
タンク山を下り、遺体の一部が置かれていた学校のある場所を、昔から住んでいるらしいお婆さんに聞く。他に聞きやすい人がいないからだ。地形は村でも、ここは都会なのだ。
学校前の高台から街を俯瞰する。タンク山がよく見える。情念の奔流した道筋を見る思いだ。明石海峡大橋も見える。昔からの地形に狼藉を働いているような風景だった。