川崎エッセイ 漫画をパソコンで書く HOME
漫画も時代と共に変化する。読み方も変われば書き方も変わる。
僕も十年ほど前から書き方に変化が表れた。従来の紙とペンによる手書き漫画から、パソコンを使って書くようになる。
同じ人が書いているのだから、それで内容は一変するものではないが、最初は書くスピードが数倍遅く、実用性は低かった。
しかし、締め切りに追われる漫画家ではないので、チャレンジする時間には困らなかった。
だが、パソコンのモニターを一日中見続け、マウスでカチカチやっていると、目も手も痛くなり、さらに歯まで痛くなった。
そうまでしてアナログ的なものをデジタル化したかったのは、その後の展開が楽になるためだ。
パソコン周辺の進化は凄まじいものがあり、十年前に比べると、嘘のように使いやすくなっている。
どんな道具を使おうと、その人がその人で有る限り、全く別なものが出来るわけではない。
機械的な処理は誰がやっても同じ結果を生むが、何を処理するのかで、オリジナルが出る。
時代が変われば処理方法も変わるが、それを操作している人が変わるわけではない。
手書きで書いた線の味や、ペンの走り方で作者の気迫や息遣いが伝わるのがアナログでの付加機能だが、例えば小説の場合、肉筆原稿ではなく、活字で読むわけなので、文字の走り具合などは見えないのだが、言葉遣いで伝わるものだ。
パソコン処理による漫画は、漫画を書くこととは関係のないパソコン操作のスキルが必要になる。
それをマスターすれば、手書きでは書けなかった、又は書く気がしなかったものが、書きやすくなることもある。