川崎エッセイ ウェブ漫画の展開 HOME
インターネットの普及で漫画作品の発表場所も今までにはなかった選択肢が増えた。
僕らが書いてきた漫画は、雑誌などの紙媒体に載せることを前提としていたのだが、ネット上でのオンラインコミックスや、ダウンロードサイトなどが増えることで、新たな展開が生まれた。
つまり、個人がホームページを作り、そこに載せれば世界中の読者と直接繋がる時代になったのだ。これは出版社を介すことなく、読者と直接接触出来ることを意味している。
単刀直入に言えば、出版社や編集者の顔色を気にしないで、漫画を発表出来ることだ。
ネット媒体が従来の漫画出版に取って代わるまでには至らないが、出版社の方針や、売れ行きに翻弄され、僕などは書きたいものがあっても、発表の場が得られない状態が続いていたので、最近はネットに活路を見いだそうとしている。
それで、今まで書いてきた漫画の一部を有料で公開し、その反応を確かめた。モニター上に表示される漫画は、本と違い、物の手ごたえはないが、経費は非常に安くつく。
他人と接触するのが面倒な僕としては、一人でやってしまえるインターネットとの相性が良かったのだろう。
有料サイトへの購読者は多くはないが、既に漫画家としての旬を過ぎている僕にとり、自分のペースでやっていけることに満足を得ている。
ネットは情報の海で、検索という船に乗り、たどり着いた人が、購読してくれる。
出版社に頼らないで漫画家としての収入を得ることは厳しい面もあるが、それは読者が直接判断し、決めてくれることである。
出版社や雑誌のために仕事をするのではなく、漫画家が主導権を握る場にやっと巡り会えた感じだが、本当の意味で、作品が問われるシビア領域であることも確かである。