川崎エッセイ   動く紙芝居     HOME

 同じ絵をコピーし、何度も繰り返し使えるようになると、新たな展開が広がる。それは動画だ。
 絵の一部を少しずつ変えることで、絵が動いているように見える。
 いつもじっとしているキャラクタがちょっとでも動くと、確かに面白い。キャラクタが生きているように見えるわけではないが、動いているのと静止画とでは勢いが違う。
 雑誌に載せることを考えなければ、漫画の一部を動かす楽しさが得られる。
 逆に言えば雑誌などの紙媒体では出来ない表現を、普通の家庭のパソコンで出来るようになるのだ。
 この道具を得た若いデジタルクリエーター達が、様々な工夫を凝らし、作品をを作っているのを見ると、従来の紙媒体の漫画よりも魅力的に感じてしまう。
 アニメと言っても、映画のように滑らかに動かす必要はない。単行本一冊分のボリュームをフルアニメで一人で作るのは無理としても、部分的に動かすことなら出来る。
 漫画そのものの書き方が変わって行くのと同時に、その見せ方も変化している。
 ネット上で漫画を公開していた時「これは紙芝居ではないか」と真っ先に感じた。最新のハイテク技術が、雑誌漫画以前の紙芝居に戻されている。
 雑誌漫画のページをそのまま表示させるより、パソコンモニターの比率とかに合わせる方が読みやすい。そうなると紙芝居に近くなる。
 それを少しだけ動かすことで、動く紙芝居への道が展開する。この種の画面や動きや操作方法はゲームの画面にも近い。
 漫画家志望の人達がゲームやデジタルコンテッツの世界に流出するのが分かるような気がする。作るのが楽しいからだ。
 僕も最近は、その方面に足を踏み入れている。