川崎エッセイ 絵解き世間之事情 その8 オフ会      HOME

 インターネットなどで知り合った人たちと実際に会うことをオフ会と呼んでいる。

 ネットに接続し、掲示板やチャットとかで双方向での書きこみを繰り返していくうちに仲間意識が生じてくる。では一度みんなで会ってみようかとなり、ネット接続をオフにして集まることになる。
 僕もHPを持っている関係で、そこに来る人たちとオフ会を何度もしているが、実に不思議な現実がそこにある。

 ネット上で知らない人と出会うことは珍しいことではない。顔も歳も職業も知らない状態でチャットで話す。ここでの出会いは果たして本当の出会いなのかどうかは疑問だ。ネット上での出会いも、実際での出会いも、出会いには違いないのだが、会い方の質が違う。生身の人間同士が、同じ空間内で喋るのと、チャットで文字をキーボードで打ち込んで、とでは情報量が違うのだ。

 チャットはバーチャルな空間だと言うつもりはないが、顔も表情も見えない相手と喋るのだから、想像力で補うため、実際とは違うイメージをこちらが持ってしまうことになるのも確かだ。

 そして、実体を見たくなり、オフ会となる。駅のターミナル付近の有名な待ち合わせ場所などで、このオフ会らしい人たちがいる。メールがどうの、HPがどうのと、小耳に入る。

 そして実際にオフ会の現場に行くと、そこにいるのは、その辺を歩いている人と同じ人たちで「ネット人」というような特別な人種ではない。ただ名前をハンドルネーム(ネットでのニックネーム)で呼び合う。逆に本名だと、誰だかわからない。

 僕らはいろいろな人々と関係しながら生きているのだが、ネット上での関係もオフ会により、バーチャルなことではなくなる。

 ネットの向こう側の見知らぬ人々とコンタクトを取ることで、現実的な関係にもなり得るのだ。


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