川崎エッセイ 絵解き世間之事情 その18 路線バス      HOME

 先日、ある市営バスに乗った。普段乗り慣れている電車と違い、料金の支払い方などで戸惑った。
 乗車口に整理券があり、それを抜き取らないといけない。「整理券をお取りください」とテープが流れているので、ちゃんと聞き取れば問題はない。
 路線バスの宿命かもしれないが、道路事情による渋滞に巻き込まれた。途中下車し、そこから歩いたほうが早いことも有り得る。この種の判断は電車では経験したことはない。ただ、街の事情と乗り物が連動しているあたりに、場所との一体感を味わえる。「ああ、今日は何かイベントでもあって、人出が多いのかな」とかだ。
 呑気なことを考えているうちに目的地に近づいた。ここで問題になるのは「小銭の用意だ」いくら支払えばよいのかは、自分で確認しないといけない。よく乗る路線なら問題はないが、整理券番号と、料金表を見比べながら、小銭を数えることになる。
 それで、小銭を数え、用意しても、あるバス停を越えると、料金が変わってしまい、あわててポケットをまさぐることになる。もしここで小銭がなければ「両替機」の利用となる。
 目的地の手前で、たくさんの客が乗り込んできて、満員となる。僕は後ろ側の席だったので、運転席までたどり着けるかどうか不安になってきた。「走行中の移動は危険ですから…」と書かれているのだが、早い目に立ち上がり「通してください」とか、言いながら前にでないといけない。停まってからの移動では遅いような気がしたのだ。
 僕がもたもたしていると、それだけ停車時間が長くなり、急いでいる人に迷惑になる。
 以上のような僕が心配するような事態を運転手も背負い込んでいるにちがいない。
 路線バスは、電車に比べ、多少ぎくしゃくするが、その触れ合いの振れ具合は悪くない。


川崎エッセイ 絵解き世間之事情 その18 路線バス      HOME