川崎エッセイ 吹田もののけ紀行 その3 妖怪小豆洗い HOME
新糸田川橋から川面を見ていると、伝統的妖怪である「小豆洗い」が出そうな雰囲気がした。
土手に沿って金田橋までスクーターで移動。吹田市内はのんびり風景を見ながら走れる場所が多いので好きだが、探さないと、見つけにくい。小豆洗いは静かな小川を好むようで、この糸田川沿いには静寂さがまだ残っている。
この川沿いは散歩コースにもなっているらしく、お年寄りの姿が多い。この種の行為と小豆を洗う妖怪とは似ている。両方とも、特に語るほどの行為ではなく、淡々としているからだ。
洪水を恐れてか、土手は非常に高い。駄菓子屋さんを発見したので、道を下る。壁に「水」と書き込んである農家が店舗になっており、駄菓子や玩具がビッシリと並んでいる。子供達が、かごに品物を入れ、店番の老人に手渡す。
「これ何円?」と、子供が聞く。考えてみれば、一円単位の買い物など、最近はしていない。時間が止まってしまったわけではないが、このあたりが農村だった時代の風景が目に浮かぶ。
土手に戻り、糸田川の川底を見る。橋の下で、小豆洗いが「未だにごしごし」と小豆を洗っていても、おかしくない雰囲気が、ここにはまだ残っていそうだ。