「入ってませんねえ花田さん」
「そ、そうですか」
「職種変えたほうがいいんじゃないですか。ご希望の職種は本当はないんですよ。それに近いものを一応気にかけてはいますがねえ」
「ち、近いって言うと？」
「警備員とか」
「他は？」
「ガードマンでしょうかねえ」
「もう少し待ってみます」
「無駄だと思いますよ」
「どうして？」
「だって、項目にないんですから」
「こ、項目って？」
「職種ですよ」
「その種類はないのですか。有名なのに」
「確かにありますよ」
「じゃあ、待ちます」
「ありますが、登録する業者はいないですよ」
「業者じゃなくてもいいんだ。個人でも」
「個人は登録出来ないですよ」
「ここじゃ無理なのか」
「無理言ってるのあなたですよ」
「や、やはり公共施設に頼った僕が甘かった」
「交通整理ならありますよ」
「それはプロですか」
「プロ？」
「はい」
「こういうのってね、専門知識とかあまりいらないですよ」
「い、いや社員ですか？」
「パートです」
「時間給か……」
「花田さんなら出来ると思いますよ。年令制限もありません」
「ほ、他にないの？」
「ありました。うっかりしていた。これなんて近いですよ。花田さんの希望に」
「どれどれ」
「不審者パトロールです」
「それは警備員でしょ」
「そうですね」
「それに僕には無理だ」
「そうですねえ」
「僕が不審者だ」
「おっしゃらなくても分かります」
「やはり待つよ。僕の本職が来るまで」
「でも探偵はねえ」
「夢は待つものだ」
　
　　　了
　
　



　　　　　　　　　　2007年1月11日