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梅雨の雨間
「久しぶりの雨ですなあ」
「梅雨の雨間ですよ」
「そういえば梅雨なのにずっと晴れていましたねえ。それで梅雨の晴れ間じゃなく、雨間ですか」
「梅雨時はずっと雨。だから、梅雨の雨間だという必要はないのですが」
「しかし、あなたが言うのはアメマでしょ」
「そうです」
「雨がやんでいる間をアママというのです。降っている時じゃなく、やんでいる時のことです」
「アメマとアママ、何かアマアマですなあ。アメマーとかアママーとかもありそうです」
「アマアイとも言います。こちらの方が、分かりやすいですな。雨と雨との間だ」
「晴れ間はどうですか」
「これは晴れている状態と言うより、やんでいる状態でしょう」
「じゃ、晴れ間と雨間は同じなんですか。どちらも降っていない」
「そういうことです」
「ほう」
「だから、梅雨の雨間となりますと、季節は梅雨ですが、雨が降っていない間だということで、雨は降っていないのです」
「なるほど、敵の攻撃の間を突いて、などもそうですねえ」
「そうです。攻撃がやんだ一瞬の間を突いて攻撃するのです」
「しかし、晴れ間は晴れている状態でしょ。雨間も雨が降っている状態の方が分かりやすいのですがね」
「あなたはそのつもりで仰ったのでしょ」
「そうです。梅雨の雨間」
「だからそれは、雨が降っている時じゃなく、雨がやんでいる時なのです」
「はいはい」
「理解できましたか。二回か三回ほど言いましたよ」
「えーと、晴れ間とは、雨が降っている状態で、雨間も雨が降っている状態ですね」
「違います。今、説明したじゃありませんか」
「はいはい」
「今日のように、梅雨時なのに、雨が少なく、久しぶりに降った雨は、梅雨の雨。それだけです」
「他に言い方はありませんか。久しぶりに降った梅雨の雨のことを」
「空梅雨の雨でいいでしょう」
「使いたいですなあ、梅雨の雨間を。これならぴったりなんだけど」
「じゃ、独り言で、仰ればよろしいかと」
了
2016年7月12日