小説 川崎サイト

 

ある場合


「場というのが大事ですなあ」
「その場の雰囲気とかですか」
「そういう場合もあるでしょ」
「ありますねえ。場違いとか」
「場は時とも絡みます」
「同じ場所でも時期により違いますねえ」
「花見の場も、桜が咲いていないと、その場は成立しないでしょ」
「そうですねえ。相撲なんかも冬場所とか春場所とかがありますねえ」
「だから場所、場、というのは大事です。物事が執り行われる場ですからね。地図に載っている場所じゃなく、ネット上の場所もありますしね。人が集まる場とか、一人になれる場とかもね。またその人だけが気にする場や場所もあります。場とは、シーンだと思えばよろしい」
「市場もありますねえ」
「市が立っている場所でしょ。市がシーンのようなものです。動きがあります。何をかしているでしょ」
「はい」
「個人的な場もあります。プライベートな場でしょうねえ。それとは別に、場違いをおかしたときのような場です。他の人にとっては普通の場でも、その人にとっては違和感のある場。その逆もあります」
「はい」
「何かが起こったとき、それは何処で起こったことなのかが気になったりします」
「そうですねえ。起こったときの場所が気になります。起こったことも気になりますが」
「そういうことが起こらない場所で起こった場合、気になります。ミスマッチのようなね」
「場所柄をわきまえなかったので、騒ぎになったとか」
「場の中にも、また場があります。宴会などでもあるでしょ、上座とか」
「はい」
「場をしめる。これは空間をしめることだけじゃなく、色々と意味が加わっています」
「はい」
「場とは空間だけの話じゃないのでしょうなあ」
「そうですねえ。いい話、ありがとうございました」
「いやいや、我々は自分の居場所がない。世間一般のことを言ってる場合じゃありませんがね」
「はい」
 
   了




2018年2月6日

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