小説 川崎サイト

 

遠縁


 最初の印象が当たっている場合がある。印象だけ、イメージだけ、雰囲気だけの把握で、詳細を調べたわけではない。だから実態とイメージとは別。またイメージは人によって異なる。絶対的なデータではない。データとして示されているものからもイメージは発生する。データそのものも実体ではないためだ。
 そして調べていくに従い、最初イメージしていたものよりも、よりデータ的に優れているものが浮かび上がってくる。
 ところが、全ての面で優れているものはなく、データをよく見ていくと、劣っている箇所もある。それを劣っていると見るか、当然のこととして見るのかで違ってくる。これは本人との関わり方で変わるのだろう。
 データ的には優れたものでも、実際にはそれほど大した違いはなく、ほとんど変わらなかったりする。
 それで最初印象がよかったもの、イメージがよかったものに、戻ることがある。第一印象でピンときたものが、意外と当たっていたことになるが、これは直感なので、勘違いも多いし、認識不足、知識不足のための誤りであることも多いはずなのだが、射貫いていることもある。
 要するに、最初の印象として、落とし所としてよかったのだろう。本人にとり、それが一番妥当だったことになる。
 直感はオーダーメイドのためだ。その人に沿ったその人だけに当てはまる特殊なディバイスのためだろう。以下省略で、直接言い当てるようなもの。途中の説明や過程は簡単なもので、最初からもう決まっているようなもの。直感で決めるとは、詳細やデータに惑わされないといういい面もある。そして、その人にふさわしい墓穴になるが。
 この直感というのは、そのものに対してだけではなく、もっと遠いところからも繋がっている。それらは印象でありイメージであり、悪く言えば妄想だが、妄想なら妄想だと分かるので、それほど悪いものではない。
 内面の何か、何処かが喜んでいるのだ。これには様々な要因、遠縁があるようだ。だから第一印象と言っても、結構深いところから来ているのだろう。本人にだけ当てはまることだが、似たような思いを懐く人も当然いる。
 ただ、その遠縁は、結構恥ずかしいもので、口には出せなかったりする。
 因果は何処で巡るかは分からない。それらはまったく関係のないところから繋がっていたりする。
 
   了

 


2019年8月15日

小説 川崎サイト