小説 川崎サイト

 

夢のお告げ


 ある関係者の夢を見た。その人物が夢で登場するのは初めて。もう十年以上前からの関係だが、一度も現れたことがない。当然夢の中でだが。
 上田は接待を受けていた。そんな関係ではないので、ただの歓迎、もてなしだろう。その人物の住む街を訪れた。彼の地元なので、色々と連れ回された。また彼の友人などとも引き合わされた。
 ただ上田はその人物の街へ行ったことがない。通ったことはあるが、その街に行く必要がないためだろう。
 だから上田は遊びに行ったようなもの。これは夢の中での話。
 夢の中では何かの端末。これはノートパソコンでもないしタブレットでもなく、スマホでもない。見たことのない端末で、通信カードというより、無線のUSB端子のようなマウスやキーボードをコードなしで繋ぐタイプに似たものが底に刺さっていた。何のための端子なのかは分からない。そして、その端末、モニターがない。長細い板状のものだが、これで何をするのかは分からないが、その人物に貸してもらった。業務用の端末かもしれない。しかも二台もある。小さいタイプと大きいタイプ。
 それを弄っていたのだが、何をしていいのか分からないが、適当にボタンやレバーを引いたりしていた。するとその人物は、上田が使いこなせていることで、満足顔になっている。
 そのあと、その人物は席を立ち、次の場所へと行こうとしたので、上田は二つの端末をすぐに手にして、彼と一緒に立ったが、二つ重ねて持とうとしたが、先ほどの出っ張りが底にあるので、それで上手く重ならない。小さい端末の底からそれが飛び出ている。大きい端末にはそれは付いていない。だから、小さいのを下にすればピタリと重なるだろう。
 そして彼のあとをついていこうとしたときに、夢が覚めた。
 上田はそれから朝の用事を片付け、一段落したところで、彼のことが気になったので、プロフィールなどを見直した。すると、今日が誕生日らしい。
 一度も夢では現れたことのない人物が、偶然とはいえ誕生日に出現した。
 彼の誕生日など、覚えてなどいないし、気にしたこともない。誕生日が問題になるような関係ではないためだろう。
 そして彼とはここしばらく音沙汰がない。何かあったのかもしれない。
 
   了


2019年8月26日

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