小説 川崎サイト

 

無期待の期待


 期待していたものより、期待していなかったものの方がよかったりする。何を期待するのかにもよるが。
 期待しないことを期待する。ということがあるだろうか。期待していないものは最初から期待していない。それを期待するというのは、どういうことか。
 期待していないものは最初から期待できないもの。問題はその期待だ。それを欲と置き換えてもいい。善くでも良くでもいい。期待の対象はまちまち。ものにより、事柄により、タイミングや時期にもよる。
 期待していなかったものが意外と良かった場合、次はどうなるか。敢えて期待できないものを選ぶのだろうか。期待できないものの方がよい結果なら、そうなるかもしれない。
 それで、期待していないものを選ぶと、やはり期待できなかったりする。それで普通だろう。
 では期待していなかったのに、良かった場合は何だろう。例外だろうか。
 期待すると期待外れが来る。期待できると思うためだ。期待していなければ外れはない。最初から外れているのだから。しかし、たまにアタリがある。
 それ以前の問題として、何を基準にして期待するかだろう。これは色々な情報や、経験から来ているはず。またはカンもある。
 期待していないもの、期待できないものを選ぶのは期待に疲れたためだろうか。期待疲れ。
 当然期待するものが違ってくる。期待していたものが期待通りで、非常に良かったが、次からは非常が抜ける。非常と言うほどではなく、単に良かっただけになる。それをさらに繰り返すと、悪くはない程度。そして普通になる。すると、期待しなくなる。
 それでも悪いもの、良くないものよりもまし。
 期待するものの変化、これを欲の変化と読み替えると、望むものの変化だろう。
 また、個人の変化で、望むものは変わってきたりする。
 期待外れ、それは何を考えていたのかだ。何を期待していたのか、その何かが問題。
 それらは期待し続けることよって得たものかもしれない。それで期待の中身が変わっていく。
 これは好みの変化と似ている。
 新たな期待を掘り起こし、見出す。そちらの方が新鮮で、それだけで十分な場合もある。
 
   了

 



  


2020年9月20日

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