小説 川崎サイト

 

自分らしさ


 選択肢が多くある。これは迷う。どれでも良いというわけではないが、選べるのは一つ。何故それを選んだのかの問題がある。選ぶことの問題だ。それを選べば問題が起こるわけではないが。
 ただ単に選ぶわけではない。それまでの履歴というのがある。経験とか、蓄積とか。それとの統合性も必要だ。まったく必要ではないものもあり、それは新規のもの。冒険だ。これまでのものとは切り放されたところにあるが、何となく繋がっている。ただ、ポリシー的には違うものだったりするので、これは冒険。新境地と言ってもいい。しかしそれまでの繋がりを捨てるわけにはいかない。もったいない。
 その意味で従来のものの発展型ならさっと選べる。しかし発展させる必要はないのではないかと思うと、選べない。ほとんど進歩のないソフトのアップグレード版のようなもの。ただ、時代の要請に少しは応えている。辞書なら新語が加わるだろう。
 人には歴史がある。これは何をしてきたかの経歴のようなもの。そこからの押し出しは強いし、また新しいことをするとき、そこからの抵抗も大きい。
 また、自覚している自分らしさというのがある。これは想像ではなく、過去を振り返れば分かるだろう。おそらくその延長線上の自分らしさに将来の選択も囲われているはず。自分らしさがあるものは安心感がある。
 ただ、この自分らしさを疑うこともある。過去の履歴からの推測なので、実行していないものは無視される。現実化しなかったのだろう。だから自分らしさに取り込まれないまま今も彷徨っているのかもしれない。
 ただ、自分が気付いていない自分らしさもある。これは一つではないのだろう。自分らしさは色々な範囲に及んだりする。実際に実現したり、現実のものになるのは限られている。それほど多くのことができないため。だから選択する。
 自分らしさとは、よく似合っていること。これは自己評価よりも他人から見た方が正確かもしれない。自分よりも他人の方がしっかりと見抜いていたりする。
 自分のことは分からないが、他人のことは分かる。これはかいつまんでみるためだろう。
 自由に選択できる場合、この自分らしさに関わってくる。その自分らしさを自分で想像するのは難しかったりする。だから自分らしさの迷路に入り込む。
 このときの抜け道は難しいが、実際にはどれを選んでもいい。一応候補に挙がっているものなら、全てOKだろう。だが、どれを選んでもいいとなると、さらに難しかったりする。
 そこで最終的な決め手となるものを発見したとき、それこそ、それが統合性のある自分らしいものとなるのかもしれないが、これも時期などにもよる。
 自分らしさは難しい。オリジナルも難しい。本当はなかったりして。
 
   了


2020年12月21日

小説 川崎サイト