小説 川崎サイト



深夜の集い

川崎ゆきお



 益田はある目撃をした。
「年配の人で、会社員のスタイルで、深夜のファミレスにいるんだ」
「場所は何処ですか?」
「郊外の住宅地だ」
「その、年配の会社員風の人は何人ですか」
「四人だ」
「時間は?」
「深夜の三時半」
「それは深いですねえ」
「年配の会社員が四人もいるような会社は近くにはない」
「車で来たんでしょうかね」
「会社の帰り、そのまま集まった感じだ」
「会社で重大なことが起こり、その相談じゃないのですか」
「場違いのような気がする」
「だから、密会にはいいのかもしれませんよ」
「しかし、夜中まで御苦労なことだ」
「ありえないことではないでしょ」
「集まろうと思えば集まれるが」
「益田さんはどうしてそれを」
「会社の帰り、寄ったんだ」
「郊外でしょ」
「帰り道だ」
「三時半は遅すぎませんか? 終電で駅に着いたとしても、三時半まで間があり過ぎます」
「ファミレスに入ったのは一時過ぎだ」
「じゃ、三時半までファミレスにいたのですか?」
「帰りたくなかったんだ」
「会社で何かあったのですね」
「まあな、家族にも話さないといけない」
「その四人の年配の会社員風の人達も益田さんと似たような感じではないのですか。何かとんでもないことが起こり、そんな時間に集まっていたとか」
「四人とも同じ町に住んでいるとは思えん」
「では、会社のある町から移動して来たのではないでしょうか。話が長引いて、そこまで来たと」
「かもしれんなあ」
「深夜のファミレスは若い人だけの溜まり場じゃないと思いますよ。益田さんも寄られたんでしょ。開いていれば何処でもいいのではありませんか。ファミレス難民もいるようですし、決まった人種だけが利用するとは限りませんよ」
「しかし、何が起こったのだろうね。私と同じようにのっぴきならん事が勃発し、会議中なのか」
 あとで分かったのだが、益田が目撃したのはタクシーの運転手だったようだ。決まってその時間に来ているようだ。
 
   了
 
 


          2007年9月2日
 

 

 

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