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調子
「交互に来る」
「あ、はい」
「意味が分かるか」
「交互に来るのでしょ」
「昨日良ければ、今日は悪い。今日良ければ明日は悪い」
「忙しいですねえ。それに不安定です」
「ふと、そう思ったんだ」
「ただの思い付きですか」
「一理ある。思い当たることもある」
「たとえば」
「調子とかだ」
「昨日、しんどかったので、今日も悪かろうと思っていると、良くなっている。すると翌日はまた悪くなっている」
「一日置きですか」
「まあ、体調だけではなく、気分の問題もあるし、何故か調子が出ない日もあるし、理由なく、良い日もある。これは制御できん」
「波があるのですね」
「だから今日は駄目でも明日がある。今日は良くても明日は駄目」
「それで何か支障が」
「いや、大した違いはないので別状はないが」
「今日はどうですか」
「良い」
「昨日、悪かったからですね」
「そうだね。それで、思い付いたんだが、真理ではなく、その一理はついておるかもしれない」
「同じような調子が続くことはないのですか」
「ある」
「じゃ、毎日交互には変わっていないのですね」
「いや、調子の良さにもレベルがある。やはり一段落ちたり、上がったりを交互に繰り返しておる」
「長く調子が良いと、今度は長く調子が悪い日が続くとかもありそうですねえ」
「その場合も調子の落ち方のレベルが違う」
「何か法則のようなものがありそうですねえ」
「寝るからねえ。一度。それで日が変わる。この寝ているときが曲者かもしれん。起きたときの一日がその夜の睡眠で決まったりしそうだが、それは寝方とか、睡眠時間ではなく、何かゴソゴソ身体がメンテナンスでもやっているのかもしれん。自分の意志ではなく」
「興味深いですねえ。でもそれは何ともなりませんねえ」
「また、常に調子が良いのも曲者だ。何処かで高転びしそうだしな」
「天気も同じですねえ」
「そうだね。晴れたり曇ったり雨が降ったり、暖かかったり寒かったりと。これは自然現象なので、何ともならん。人も何処かに大自然を残しておるんだろうねえ」
「はい」
「君はそんなことを考えないのかね」
「確かに調子の悪い日もありますが、まあ、そんなものでしょ」
「そうだね。そんなものだね。ところで私は今日は調子が良いが、君はどうだ」
「悪いです」
「原因は」
「何となくです」
「不明なんだね」
「そうですねえ」
了
2021年4月24日