小説 川崎サイト

 

交互のジンクス


 良いことが続いたあとは悪いことが続く。だから、良いことは続かない方がよかったりするのだが、そうはいかない。
 その良いことは、悪いことが続いたときに来たりする。だから、良い状態になって喜ぶが、そのジンクスがあるので、苦虫を噛んだような喜び方になる。だから喜んでいない。しかし、良いことなので、本当は喜んでいる。よかったよかったと。
 良い事が一つあると、そのあと、悪いことが一つある。良いことが二つあると、そのあと悪いことが二つある。そこまで揃うかどうかは分からないし、何が良いことか、悪いことかなのかの、判断にもよる。
 良いことなのに悪いこと、災難と捉えることもある。その逆も。
 これは木内が判断する。その判断が正しいかどうかは木内が決めるので、客観性はないが、それほど厳密なことではなく、ただのジンクスなので、良いことと悪いことの違い程度で、丁寧な判断ではない。
 それと、何をどう思おうと、良いこともあれば悪いことも適当に来ている。
 それで、木内が考えたのは、良いことが来ても、良いことだと思わないこと。そうなると、次に来るはずの悪いことも来ないことになるが、やはり来るものは来る。否応なしに。
 それで次に考えたのは、良いも悪いもないというような解釈。これは良いようでもあるし、悪いようでもある状態。これはどっちつかずなので、良いことと悪いことが交互に来るパターンがなくなる。
 しかし、良いことと遭遇すれば手放しで、無邪気に喜びたいもの。それができないのが欠点。
 しかし、笑い顔と泣き顔は似ていたりする。
 喜怒哀楽、波はあるが、あまりひねくらない方がいいのかもしれない。
 また、悪いことばかりで、交互に来るはずの良いことが来ないこともある。だから、良いのが来たとき、喜ばないと損だ。
 良いことに中に悪いことも含まれ、悪いことの中に良いことも含まれている。そういう解釈もある。
 そして木内の結論だが、来るものは来るので、仕方がないということだろう。
 
   了


2021年9月18日

小説 川崎サイト