小説 川崎サイト

 

ネット友達

川崎ゆきお



 ネット上での友人グループがあった。
 メンバーの一人TAKAが書き込まなくなった。
 TAKAのブログも更新されていない。
 ハルがメールするが、返事はない。
 TAKAがネットから消えて一週間が経過した。
 ニャキがTAKAに電話した。
「どうしたの?」
「ああ」
「事故でもあったの?」
「別に」
「パソコンの故障?」
「違う」
「ネットに繋がらないとか?」
「繋がる」
「最近書き込み、ないんだけど」
「ああ」
「みんな心配してるよ」
「そう」
「ハルがヘンなレス入れたかもしれないって、悩んでた」
「え、何のことだろ」
「違うの?」
「違う」
「急に消えたから、心配してるの」
「あ、そう」
「何か悪いことした?」
「別に」
「じゃあ、どうしたの?」
「見るの忘れてた」
「ハルがメール入れたでしょ?」
「見てないけど」
「メールチェックしてる?」
「忘れてた」
「何かあったの?」
「別に」
「みんなに報告しないといけないの。どう言えばいい?」
「ああ」
「言いにくいこと?」
「そうじゃないけど」
「言えない事情」
「いや」
「報告できないよ。言ってくれないと」
「驚いた」
「どのこと?」
「電話」
「教えてくれたじゃない」
「そうだったか」
「みんな本当に心配してるのよ」
「分かった」
 しかしその後もTAKAのブログの更新はなく、メンバーへの書き込みもなかった。
 ニャキからの電話も二度となかった。
 
   了


2007年10月06日

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