小説 川崎サイト

 

普通な日


 今日は普通だ。日々同じことを繰り返しているのだが、その順番も普通。特に変化はない。体調も普通。悪くもないが、それほど良くもない。
 冬場で寒いのだが、それほど寒くはないし、暖かくもない。そして気分も普通。
 これは焦るようなことや、心配事や、苛立ちやプレッシャーになるようなことも静まっているのでノーマル。普通だ。
 といって冷静になりすぎているわけでもない。が、気持ちは落ちついいる。穏やか。
 慌ただしいときは落ち着かないだろう。しかし、忙しくやっているときの方が落ち着いたりすることもあるが、これはやることが分かっており、目の前のものに熱中できるためだろう。目先だけの頭の使い方、これが楽なようだ。
 里中は今日の感じに気付いたとき、これは悟ったのではないかと思ったが、悟りに至るようなことなどしていない。だから、それとは違う。
 そういう日でも、面倒なことが起こると、落ち着きなども消えるだろう。まだ一日が始まったばかり。
 朝から寝ぼけているのかもしれないが、目はしっかりと覚めている。
 そしてやることなすことコンスタンスに行く。これは難しいことをやるわけではないので、それで当たり前であり、普通なのだが、焦っていたり、時間がなかったりすると、簡単なことなのに、スラスラとは行かなかったりする。気の持ち方だろう。
 それで、いい感じなので、これをその後も維持したいと思うのだが、どうやってこの状態になったのかは分からない。
 落ち着いた気持ち、気分。これは何かが落ち着いたのだろう。そのあとが今日ではないか。
 それで、何が落ち着いたのかを探してみた。するとなかなか買えなかった品物を買っていたりする。これかもしれない。これで抜けたのだ。だが、解脱ではない。
 落ち着いたあとなので、落ち着いたのだろう。そのままだが、他にも何かあるかもしれない。
 一段落もの、区切りが付いたもの。見通しが立ったことが分かったあと。等々が候補。
 いずれも小さいながら、思い当たることがある。それらが偶然重なったのだ。
 と、なると、落ち着いた気持ちになるためにはドタバタしないといけない。
 これも、考えてみれば、それなりにドタバタしている。うまく行かないとか、面倒だとか、そういったものは日頃からやっている。格闘していると言うほどではないが。
 収まるところに収まった安堵感などもある。元々のものではなく、先々にあったものもある。未来というほど遠くはないが、収まりのいいものが見え隠れしているのだが、なかなか辿り着けないことがあり、そこに辿り着けば収まった感じになる。これもそのままだ。
 城は見えているのだが、辿り着けない城もあるが。
 しかし、たまに肩の荷が下りた日もある。偶然、そういう日に当たるのだろう。
 この境地もいいのだが、その先、荒れるかもしれない。
 
   了
 

 

 


2022年1月20日

 

小説 川崎サイト