小説 川崎サイト

 

つつがなく


 一日は色々な工程でなり立っている。別に何かを作っているわけではなく、その日、何をやるのかの時間割のようなもの。
 これは時計を見ながらやるわけではなく、あれが終われば、これ、これが終わればあれという程度で、これは途中で打ち切ったり、また長引いたりする。
 それらの工程でやっていることがほぼ毎日同じ内容だと、次に来るのはそのこなし方だろう。
 同じことをやっていても、やり方が少し違うし、また調子も違う。今日はこれをするのが辛いとか。いつもよりもたやすく出来たとか。
 これを睡眠まで入れると、よく眠れたとか、夢を見たとか、寝付きが悪かったとか。早く起きすぎた、など、日によって違う。これは方針を決めてもその通り実行できない。何故なら、寝てしまっているので。出来ることと言えば寝る前だろう。
 これは寝る姿勢を変えてみるとか、掛け布団を変えてみるとか、その程度。寝てしまえば、もうコントロールできない。
 朝昼夜の食事もそうだ。間食も。
 おかずが違うし、ご飯の炊け具合も違う。水を多く入れすぎたとか、違う米にしたとか。
 おやつも甘いのもあれば塩辛いものもある。固いのもあれば柔らかいのもある。おやつを食べることでは変わりはないが、食べるおやつの種類が違う。当然季節によって違うだろう。これはおかずもそうだ。
 やっていることは同じでも、それぞれに変化があり、違うものが入り込んでいるのだが、やっている内容は同じ。散歩に出た場合、道は違うが、散歩という行為は同じ。
 だが、実際には違う。違うからいいのか、同じなのでいいのかは分からない。同じであって欲しいものは同じの方がいい。
 また、違いがあるのに、同じだと、強引に包んでしまうこともある。同じの方が安定しているため。
 安定していることは考えなくてもいい。しかし、本当は安定などしていないのかもしれない。そう思いたいだけで、その変化に薄々気付いていても。
 一日を難なくこなす。難もあるが、無事ならいい。そして寝る手前で、それらは終わる。ここでいい一日だったのかどうかを考える場合もあるが、悪い日だったと思う日も当然ある。
 つつがなく終われば、良い日と思えばいい。悪い日だと、考えたくなかったする。それが翌日に影響を与えるとなると、やや深刻だろう。だから何事もなく、後腐れなく無事終えた日が良い。
 
   了

 




2022年4月12日

 

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