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予定崩れ
予定していたわけではないが、何となく予定通りに事が運んだりすることがある。その事を予定していたわけではないのだが、何となく予定していたように思ってしまうことがある。
予定していても予定していなくても、似たようなものだというわけではないが、予定というのも、何処かでそんな予定が浮かぶのだろう。予定の発生。
だからそれは予定ではないのかもしれない。ただそんな予定が浮かんだけで、作りだしたものではない。
そして作り出した予定ほど、予定に入らなかったりする。予定はしているが、大層になったり、他に別のものがあるような気がするためだ。
そのうち予定は消えるわけではないが、横からすっと入ってきた予定のようなものに持って行かれてしまう。
これは予定のようなもので、予定ではない。しかし、何となくそっちだろうというのが分かるというか、それなりに腑に落ちる。またはその気になれる。
「何をブツクサ言ってるんだ」
「予定通り行かないもので」
「予定など立てるからだよ。そんなものアドリブでいいんだ」
「でも、アドリブは鉄板だよ」
「え」
「今までのパターンを使うだけで、決してアドリブじゃないんだ」
「そうだったか、即興のような、その場の思い付きだろ」
「でもアドリブの落とし所は決まっているんだ。だからアドリブじゃない」
「あ、そう。じゃ、マンネリ化したアドリブかい」
「それは知らないけど、それほど違ったことはしていないんだ。安全地帯を結構行っているんだ」
「さっき予定がどうのと言ってたけど、それもアドリブでいいんじゃない。安全地帯なんだろ」
「僕が考えているアドリブは、とっさにさっとやるような感じかなあ。あまり考えないで、思わないで。そんなとき、上手く行くこともあるけど、さっきも言ったように定番なんだ。安全地帯で、既にやってきたことと同じで、アドリブらしい冒険はないんだよ」
「それで、予定についてはどうなんだ。それもアドリブじゃ予定にはならんだろ」
「一応作るだけ。一応は予定しているという程度。でも、以前に考えた予定なんて、もう賞味期限が切れているので、予定から外れることが多いけどね」
「じゃ、何がいいんだ」
「さあ、知らない」
「じゃ、成り行きに任せたらどうなんだい」
「思ってもいない方向に流されたりしそうだよ。だから予定はある方がいいんだ。そっちの方向が目安になるから。そっちへ行けるとは限らないけど」
「面倒臭いこと、考えているんだなあ」
「だから、面倒だから面倒臭くない方法を考えているんだ」
「でも、よく分からないんだろ」
「まあ、紆余曲折を楽しむしかない」
「予定崩れの宴会だね」
「うん」
了
2022年6月17日