小説 川崎サイト

 

メイン通り



 メインというのがある。メーンともいう言う。主流、本筋。本道などと置き換えてもいいが、メインストリームとなると、都大路を連想してしまう。幅の広い大きな道。メーンとなると、羊が鳴いているように聞こえ、少し浅く感じる。ラーメンを連想したりする。
 やはりメインだろう。こちらの方が使い勝手がいいし、抽象度も高いような気がする。これはただの語呂。
 潮流とも言うが、これは時の流れ、時代の流れででメインも変わるのだろう。流れが。
 潮の流れは確かに変わるようだが、これもたとえやすい。
 メインというのは一つ。だからメイン。また非メインとか、反メインとかもあるのだろう。これもメインがなければ出てこない。
 そのメイン。一つと限らない。それは何に対しての話なのかにより、話ごとにメインがあったりする。
 中心。これもメイン的だ。何を中心にお仕事をされていますか。などは、複数の仕事を持っている人に対してだろう。
 また、複数で何かをするとき、メインになる人がいたりする。これは一人とは限らない。メインメンバーと複数。だからメインの使い方は多い。
 メインパソコンとサブパソコン、メインカメラとサブカメラ。そういった道具類や機械類、または建物や会場、場所などでも使われる。
 メインとなる考え方、主義主張などもある。敢えてメインと言わなければいけないのは、複数あるためだろう。
 また隠しメイン、隠れメインもある。メインがどれなのかが分からないように隠しているのだ。実際にはなかったりする。
 空洞。中には何も入っていない、うつろなメイン。案外これが扱いやすいのかもしれない。何もないのだから、扱うも何もないため。
 また、メインを決めると、窮屈になり、違うものに変えたくなったりすることもある。これもメインの箱に何かが入っているので、そうなる。何も入っていなければ、変えるも何もない。
 しかし、メインがあると、軸が出来る。道も決まる。だから都合がいい。ただ、メインはあるが、寄り道ばかりしている場合もある。戻ることが出来る本筋があるので、やはりメインがある方が安心だろう。
 戻ってくると、メインが潰れており、もうメインではなくなっていることもある。
 
   了

 
 


2022年7月27日

 

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