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空中戦
「探索ですか」
「次に何をしていいのか、それでの迷いがない」
「何の話でしょうか」
「一般論だ」
「はい」
「迷うが、やることが決まっている。探索なのでな。目的がある。ここが大事なんだ」
「どのように」
「やることが出来る。これで充分。ただし、何を探索するのかにもよる。これは永遠に辿り着けない方がネタとして長持ちするが、全てが過程。だが、節目や区切りや、一段落付くことはある。まだ先はあるが、とりあえず、その一つは探し出せた、とな」
「要するに暇潰しのようなものですか」
「自由時間。何をしてもいい時間があるだろう。暇というわけではないが、本当の用事は今はしなくてもいいような時間」
「はい」
「本当の用事は本当はしたくなかったりする。やらないと困るからやるだけで、自分で決めて、自分で好きなことをやるわけじゃない。半ば強制だったりする」
「それがどうかしたのですか」
「探索。これがいい」
「いきなり、そう言われても」
「何かを探す。これが大事。ネタがある。ライフワークではないものの、飽きるまではしばらくはやるだろう。暇潰しと言うよりも、やることが出来る。ここが大事なんだ」
「そんなに大事なのですか」
「私も、過去に色々とやってきた。それらを踏まえた上でのキーワードが探索だった。探し求めるような感じだな。この力が結構強い。そしてしつこい。そして色々なことに共通しているのが、探索なんだ」
「求道者とか」
「それもあるだろう。しかし、つまらないとされているものに没頭するのも、探究心が生まれるからじゃ」
「はあ、漠然としていますねえ」
「探し求める。その間、ネタに困らない」
「ネタにもよりますねえ。そんなに引っ張れるようなネタなんて、そんなにないでしょう」
「そうじゃな。しかし、すぐ足元にあったりする。普段からたまにやっていることの中にあったりする。それ以上踏み込まなかったことの中にあったりする」
「発見ですね」
「それこそが探索最大の喜びなんじゃ。それがあるから探索する」
「探索するために探索するのですか」
「そうではない。それではすぐに飽きるだろう。取って付けたような探索や探究ではな。しかし、それも続けておると、色々と見えてくるものがある」
「難しそうですねえ」
「だから、楽しむためにやるのだから、興味のあるものがなければ駄目だがな」
「はあ、いいネタが思い付きませんが」
「まずまずのネタでもいい。最初はな。掘り進み、探索していく内に色々なものが見えてくる。自分の好みとか、性格とかも反映される。そして探すものの方向性も徐々に決まってくる。最初はそれほどでもないと思っていたものが、意外と奥深いこともある」
「はあ、難しそうです」
「世の中の縮図。また風潮なども反映されており、それが見え隠れしておる」
「それはただの趣味の話でしょ」
「それで、食っていないのなら、趣味じゃ。それに実用性もなく、本当にやらないとならぬ用事ではないのならな」
「趣味というよりも興味の問題なんですね」
「そう。おもむきの世界じゃ」
「疲れました空中戦。具体性が欲しいです」
「まあな」
了
2022年8月31日