小説 川崎サイト

 

日々の変化


 日々、同じことを繰り返している半村だが、それなりに違うことは確か。やっていることは同じだが、やり方が微妙に違っていたりする。
 同じことをするのだから、同じ方法でもいい。しかし、一寸だけ方法を変えることもある。これは改良とかも含まれるが、これでそっくりそのまま昨日とは同じにならない。
 当然、それをやっている半村の気分や体調なども違うので、接し方も少し違う。簡単なことが、すっと行かなかったりするし、逆に面倒なものでも、すっと行く日もある。だが、やっていることは同じようなことなので、やはり、同じことの繰り返しだろう。
 しかし五回繰り返すのと、千回繰り返すのとでは違う。繰返し回数で変化が出る。これもそれがどうしたと言うほどのことではないが。
 また、スケジュール通りやっていても、何日に一回は余計ごとが入り込むことがある。いつも使っている道具などが見当たらないとかで。そのため、それを探す時間が必要。そのエピソードというかチャプターが加わる。
 こういうのは毎日起こることではない。たまに忘れたり、なくしたりする。または壊れたりとかもあり、それで買いに行くエピソードが加わる。これも毎日、物を壊したりなくしたりして買いに行くようなことはない。たまにだ。
 当然、似たような時間に食事をする。半村の場合、三食食べる。外食もあるし、弁当類を食べることもある。三食食べており、時間も似たような時間だが、食べているものの中味が違う。
 米のご飯を食べていても、米の銘柄が変わっていたりするし、自炊なら水加減も僅かに違うだろう。水の量は同じでも米のタイプによって違ってくる。
 半村は変化をあまり望んでいないのか、現状維持で充分。しかし、少しは先に良い事が起こるようには望んでいる。また今までとは違うこともしてみたいとも。これは今よりもよくなると思うので。
 しかし、変化は始終起こっており、変えなくても、勝手に変わっていく。道具が潰れれば、新しいのを買いに行く。以前よりもよくなっている。新しいことがしたいからではなく、故障して使えないので、買うだけの話。こういうところでも、いつの間にか今風なものを使っていたりする。積極的に働きかけなくても。
 また、気温とか空模様とかの影響を受けやすい。特に支障はないが、気分に出たり、体の動きに出たりする。それも僅かな違いなので、言うほどのことではないが、そうして結構揺すぶられる。
 日々同じようなことを繰り返している半村だが、決して穏やかではない。それなりの変化があり、退屈しないし、また停滞しているわけでもない。結構何処かへ向かっているのだ。
 
   了


 


2022年9月17日

 

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