小説 川崎サイト

 

掃除機の掃除

 
 電気掃除機も、たまに掃除をしないといけない。フィルターとか。
 だが、掃除機を掃除する掃除機はない。
 ゴミ箱もそうだ。たまにはゴミ箱も掃除しないといけない。ゴミ箱がゴミになれば、ゴミ箱に捨てることは出来るが、一回り大きなゴミ箱がいるだろう。
 ゴミの場合、回収してもらえるので、そのままゴミ箱を出せばいいので、ゴミ箱のゴミ箱はいらない。
 最後はゴミ袋だろう。だからそのゴミ袋をゴミ箱に入れることが多い。ゴミ袋にいきなり普通のゴミを入れることも出来るが、クニャクニャしているし、口が閉まっていたりする。
 箒はどうか。これも、たまには手入れが必要だろう。ゴミ受け、チリトリだが、これも、たまには洗う必要がある。常にゴミを受けているので。
 高島は電気掃除機の掃除が嫌だ。使うときは便利なのだが、手入れが面倒。ここは自動でやってくれない。
 掃除機内にあるゴミ溜めのような容器があり、これを取り出すのも面倒。埃が立ったりする。すぐに掃除機で吸い込めば良いのだが、ゴミ容器なしでは使えない。
 さらにフィルターの掃除になると、かなり原始的。食器を洗ったり、雑巾がけをするようなわけにはいかない。小さなヒダが何枚もびっしりと重なっており、その隙間に埃が既に固形に近い形で入っている。
 これは水道で洗い流すのが良いだろう。水を使ったので、乾燥するまで待つ必要があるのだが、これがなかなか乾かない。
 複雑なものほど手入れが面倒。箒とチリトリなら手入れも楽。ということを高島は思っているのだが、掃除中は掃除機の方が楽。
 しかし、なかなか吸い取ってくれないゴミもある。ある程度の重さがあると、無理だったりする。箒なら何とかなる。また、指でつまんだり、掴む方が早かったりする。
 ガーガーと音を立て、頑張っているのだが、こんなものも吸い取れないのかと、がっかりすることがある。しかし、吸うと祓うや履くのとは違うのだろう。箒は直接ゴミに触れて動かす。掃除機も先っちょでこすりつけたりするし、先っちょにブラシが付いているのもある。これは触れている。
 箒だと埃が立つこともある。茶カスとか、新聞紙を小さく切り、水に浸したものをばらまけば何とかなるが。
 高島はフィルターの掃除をしているとき、掃除中には見えなかったが、こんなに多くの埃を吸い込んでいたのかと、感心することもある。
 だから礼を言いながらフィルターの掃除をするわけではないが、そこぐらいは手伝っても良いだろう。そうしないと、詰まってしまい、吸い込む方も弱まるかもしれない。
 それでも掃除機の掃除はしたくないことには変わりはないが、これは道具の手入れだと思えば、納得出来る。
 掃除機も故障したり、古くなると、ゴミになる。掃除機を吸い込んでくれる掃除機はないが、ゴミの回収車を見ていると、口が開き、吸い込んでいるようにも見える。
 
   了
 

 



 


2022年11月28日

 

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