小説 川崎サイト

 

同類意識

 
 もう見放されかのように思われていたものが復活したりする。実際には続いていたのだろう。切るとか終わらせるとか、引退とか、そういうことではなく、しばらく間が開いただけ。
 ただ、その間の間隔が危ない。これはそのまま消えていくことの多いパターン。
 三田はその復活というか、継続で安堵したのだが、さらにその先があるのかどうかは不確実。どうも終わりがけに近い雰囲気がある。
 しかし、ここまで続いたのだから、いいだろう。いつの間にか消えてしまうよりも、しばらくぶりの旧友に再会したような感じ。まだ現役のように。
 その世界にはメインがある。それが軸になっているのだが、それは正統派の系譜で、別の系譜もある。さっと出て来てさっと消えるような。
 これは継続性がないし、段階を踏んでいない。踏むもなにも一回きりなので、次がない。これは大凡分かる。これは一回だけで終わると。
 だから三田はあまり注目しない。相手にしない。関心はあるが、興味はない。続きがないためと、メインになる可能性はないため。そんな前例はない。
 また、非常に地味だがかなり続いているタイプもある。これはメインになれる可能性が高い。地味なだけに、ここだという特徴はないのだが、安定している。
 今回復活したタイプは、メインになる可能性は低い。ただ、メインだけでは無理なので、その脇役のようなものが必要。そのタイプだろう。だから、いつの間にか消えていても不思議ではなかった。
 しかし、復活している。間が開きすぎたのだが、これは何だろうかと三田は考えた。それなりの事情があるはずだが、そこまでは窺い知れないことで、想像の域を出ない。
 そこは三田とは関係しない世界だが、三田の界隈、三田の仕事関係の世界で、三田はどんな位置にいるのかが、他の世界を見ることで見えてきたする。世界は全く違うのだから、ルールも違う。しかし、似たような展開になっていることもある。
 どうも三田はメインになれるタイプではないし、いつの間に消えてしまうタイプに近い。だから、今回復活したものが自分に近いのではないかと思えたのだ。まるで我がごとのように。
 これはスポーツ観戦でもたまにある。自分に近い選手を贔屓にする。表向きでは言わないが、密かに頑張れと願っていたりする。
 自分と同じタイプが生き残ったとすれば、これは関係があるような気になる。そこでの勝敗だけではなく、自分と似たタイプの選手が果たしてどんな試合をするのだろうかと、親近感込みで見る。
 よくあることだが、世の中には同類だと思える人や物があるのだろう。
 
   了

 
 
 


2022年11月29日

 

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