小説 川崎サイト

 

程良さ

 
 レベルを上げると、苦しくなる。成果は高いが、かなり頑張らなくてはいけない。これがしんどくなることがある。
 それに得られる成果のことを考えると、期待も大きいが、プレッシャーも大きい。つまり邪魔臭さが先に立つことがあり、面倒臭いのだ。
 高石は、それで臭いというのが気になった。匂いだ。その中に臭いという匂いがある。香りがいいとかもある。香ばしいとか、甘酸っぱい匂いとか。
 レベルを上げると面戸臭い、邪魔臭いという場合の臭さがどうも嫌なようだ。生理的にも気分的にも。
 それでレベルを落とすと楽になる。臭さは消える。成果はさほどないが、まずまず。多少の歯応えがあり、楽過ぎるよりも飽きない。たまに一寸した抵抗体があるため。しかし、レベルを下げているので、大したことではない。
 それより下げると、今度は退屈になる。このあたり、よくあることで、特別なことではない。
 しかし、高石はレベルを上げすぎていた。高望みだ。これが苦しかった。そして高いものが得られるのだが、それに慣れてしまうと、高さ慣れし、さらに高みを目指すことになる。それにも限界があるのか、高石はそこで根を上げる。値を下げろと。
 レベルを下げると得られる成果も減る。しかし、まずまずのものが得られる。決して満足なものではないが、これでもいいのではないかと思うようになった。
 決して悪いものではない。高石にとり、それで充分。
 上があることを知っており、その上も経験したのだが、言うほどのものではない。さらに、その上がまだまだある。そこは実際には高石の力では辿り着くことは出来ないので、考慮外。
 少しだけレベルを上げるより、少しだけレベルを下げた方がスムーズに行く。これを高石は発見した。
 それ以下だと退屈だし、それ以上だと負担が大きすぎる。
 程良い場所、位置。それは最初は分からない。一度登れるとこまで行き、一寸だけ試してみて、やっと分かったりする。
 
   了
 

 
 


2022年12月15日

 

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