小説 川崎サイト

 

大掃除

 
 年内に何とかしておきたいことがある。来年でもいいのだが、やり残したまま年を越したくない。そういうことがいくつかあり、何年もそのままのもある。
 だから今年に発生したことなどはまだまだ若い。先輩が並んで待っているような状態なので。
 しかし、古すぎる案件は手を付ける気がしないし、また放置耐性があるのか、そのままでも別に何事も起こらない。静かだ。しかし、静かに進行しているかもしれないが。
 これは優先順位があるようでなかったする。それ以前にやろうという気が起こらなければ、順位もクソもない。
 立花はそれで安易でやりやすく単純で簡単ですぐに出来ることを探した。すると、今まで気付かなかった小さなやり残しが沢山ある。余計なことをしたので、やることを増やしたようなもの。
 しかし、すぐに出来るので、さっとやってみた。しかし今までの案件が減ったわけではない。俄案件をこなしただけ。これはこれで大事だろう。探せばまだまだ見付かるが、いずれ見付かることなので、隠れ案件のままでいい。
 これは大掃除の時期と重なったため、一寸だけそれが頭をよぎった。片付けものをしないといけないとか、やり残していたことを一つでも果たそうとか。
 一寸よぎっただけなので、一寸でいい。気持ち程度の。だから本気ではない。やり出すときりがないので、静かに眠っている案件を起こす必要はない。それに限界というか臨界点が来れば嫌でも気になるだろう。そのときまで眠っていてもらおう。
 しかし、そのときでは手遅れの案件もある。案件と言うよりも用事のようなもの。懸案でもいい。しかし、プライベートなことが多いと、そんなビジネス扱いには出来ないが。まあ、野暮用といってもいいだろう。
 だから大掃除時期に大掃除の真似事を少しやれば、それで充分。そういうことも年末にやりました程度で。
 過去から押し寄せるもの。未来から寄ってくるもの。また、新たに発生したもの。タイプは違うが、気になる事柄を挙げるときりがない。
 表道で畳を叩いたり、洗い張りをやっていた時代ではない。またゴミやガラクタを道で焚き火として焼いていた時代でもない。
 そういうのがあると、大掃除のテンションも上がるのだが。
 それで立花は大掃除の真似事だけをして新年を迎えることにした。年を無事に越せるだけで充分だろう。
 
   了


2022年12月31日

 

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