小説 川崎サイト

 

ずる休み

 
 心境というのは日により変わり、時や場所によっても変わる。これは気持ちだ。
 気の持ち方ではなく、その前に既に発生している。それに気付くのはあと。後追い。
 しかし長く続いている心境のようなものがある。心根のようなものだと、これは根があるので、それほど動かない。
 心境の変化は刻一刻変わったりするのだが、これは体から来ていることも多い。元気だと気持ちも明るいし、前向き。意欲的になる。
 疲れている時は気力も減り、やや消極的。今はやりたくないとか。
 勝手に沸き上がってきた心境に対し、どう対処すべきかを考えるのは暇な人。他にやることがないのかもしれないが、気持ちどころの話ではなく、さっさとやるべき事はやらないといけない場合、無視することが多い。この場合、一寸調子が悪い日。ノリの悪い日として。
 虫の居所が悪い時もある。これはどこから来ているのかは分かりにくい。機嫌が悪いのだ。体か心なのかは分からないが、両方だろう。
 前田はそれで休むことにした。職場に連絡し、休むと伝えた。これで休める。そう度々休んでいるわけではないので、またか、と思われることはない。
 しかし、平均よりもやや休みが多いタイプ。だが、それほど目立たない。あまり休みが多いと、健康状態を疑われる。
 だから仮病でずる休みだというニュアンスを察して欲しいところ。しかし、ずる休みでは、仕事が嫌なのかと思われる。だから、プライベートな何か野望用で一寸休みにしたいというのがまだいい。
 しかし、タイムカードは数字だけなので、それが全てになる。だから、理由はどうあれ休んだことには変わりはない。そのため、平均的なところで納めている。
 しかし、今朝は本当に調子が悪く、仕事に行く気がしない。これは休みたいので、そう言っているだけで、休んでもかまわない仕事なので、言えるのだろう。
 それに有給休暇はかなり残っている。それはそれで遊びに行く時に使えばいい。土日とかを入れて連休にするとかだ。
 だが、今朝は遊びたいからでない。仕事に出たくない気分なのだ。理由はない。しいて言えば心境。ただの気持ちの問題。
 電話で休むことを伝えたあと、急に元気になってきて、心境は快晴。
 この変化は何だろう。単純に考えると仕事をするのが嫌なのだ。しかし、それは言ってはいけない。そのため誤魔化し誤魔化しやってる。
 前田はそれで気分もよくなったので、また寝ることにした。こういう時に寝るのは気持ちがいい。昨夜、夜更かしだった影響もあるのだろう。単純なものだ。
 
   了
 

 



2023年1月11日

 

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