小説 川崎サイト

 

落ち着く

 
 何もしないで、じっと座っていると、落ち着くはずだが、逆に落ち着かない。何かをやっている時の方が落ちが付く。この何かが「落ち」なのだ。だからそのやっていることで落ち着く。
 もっと言えば落ち着く方が難しく、落ち着けるはずなのだが、落ち着けない。これはやることがないため。
 だから、ここでのやることとは落ち着くこと。これは落ち着くことを狙っている。狙って落ち着こうとしている。
 それでもパニックになりそうな時、まずは落ち着いて、となるはず。だが、緊急の場合は、落ち着いている場合ではないだろう。
 ただ、物事を考える時、落ち着いて考えた方がいい。先ずは落ち着くこと。これは緊急事ではない。
 それに実行までに間があり、考える時間があるとか。または実行を伴わない、何かの思案ごとの場合なども。
 それよりも何かをやっている時の方が落ち着いたりする。また、何かをやりながら考えた方がよかったりする。
 落ち着きのない人は、色々と目まぐるしく変えたり、一箇所にいなかったりと、その振る舞いを言っているのだろう。しかし、それをやっている人は、それなりに理由があり、バタバタしているように見えても理にかなっていたりする。ただし、本人だけだが。
 逆にバタバタし、落ち着きのない人が止まった時、凄い落ち着き方になるかもしれない。
 落ち着く場所。落ち着ける場所。それは場所や行為ではないのかもしれない。
 落ち着いて何かをやっている。これだろう。一番いいのは。
 だから、何をやっている時が一番落ち着けますかなどの質問もある。やっているのだ。何かを。
 じっと座っているのも、落ち着けるが、そう長くは続かない。
 さらに凄いのは、何をやっていても全部落ち着いた態度でやっていることだろう。これが最高ランクかもしれない。
 あまり自分が前面に出てきて、あれやこれやと指令しない時かもしれない。だからとっさの場合でも考える前に反応していたりしそうだ。これを冷静というのかどうかは分からないが。
 当然、今までバタバタしすぎて、落ち着きのないことばかりが続くと、一寸落ち着いた時、本当に落ち着けたりしそうだ。落ち着きを取り置いていたのだ。滅多に使わないで。
 平常に戻れたので、落ち着けたというのもある。
 
   了

 


 


2023年1月12日

 

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