小説 川崎サイト

 

待ち時間

 
 早く戻らないといけないのだが高浜は待たされている。いつもなら待つ必要はないのだが、その日に限って。
 しかし高浜は早く戻りすぎても困る。今度は戻ったところで、待たないといけない。
 待たされているのは出先。戻るのは事務所。待たされなければ、ほどほどの時間に事務所に戻れる。しかし、これは早い目となり、それなりに待たないといけない。
 出先で待たされることにより、事務所での待ち時間は短くなるが、待つどころか、遅くなる恐れがある。それは困る。だから、遅れないように、早い目に戻る予定なのだ。
 よくある時間の調整。ただ、出先での待ち時間はどれぐらいかかるのか分からないが、それほど長いものではない。これは何度か経験しているので分かる。
 滅多にないことだが、年に二度ぐらいあるだろう。半年に一度ではない。半年内に二回あり、残りの半年はそういうことはなかったりする。
 前回、出先で待たされたときは、そのあと別に何もなかった。遅れてもかまわなかった。今回は遅れすぎると困る。
 これはスイッチのようなもので、手動で切るようなもの。事務所には人はいるが、高浜でないと切ることが出来ないようなものなので、高浜がいないと駄目だ。
 今回の出先での待ち時間。待たないで戻ることも出来る。用が足せないが、後回しでもいい。しかし、すぐに戻ると、これは早すぎる。
 それに、出先の用事はその場で果たさないと意味はない。あとでも果たせるが、その時間帯が好ましい。
 だから、少し待つ程度なら、戻ってから事務所で待つ時間が省略出来るので、ここは待つほうがいい。あまりにも長い待ち時間になってしまうと別だが。
 高浜はそんなことを思いながら、待っていたのだが、かなり長い。こんなに待ち時間がかかるのかと思うほど。
 前回も待ったが、それほど時間はかからなかった。その前も。だから長く待つことになるとは思ってもみなかった。
 しかし、終わった。
 少し遅くなったが、無事に用件を果たした。あとは遅れないように事務所に戻ること。時計を見ると、少し余裕がある。しかし、事務所での待ち時間もある程度は分かるが、しっかりとは分かっていない。意外と早い場合もある。
 そのときのことを考え、急いで戻ることにした。
 こういうとき、またしても待たないといけないものに途中でぶつかる恐れがある。
 しかし、事務所に戻ると、丁度いいタイミングで難なきを得た。
 しかし、一寸の狂いやハプニングは付きもので、支障がなければいいのだが、中にはあるので、高浜はいつもヒヤヒヤしている。
 
   了


  


2023年3月3日

 

小説 川崎サイト