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予測
「予想していたものが来ない」
「確率が低いのではありませんか」
「かなり高い。理屈ではそうなる。今までもそんなことが多かった。また今回も当たるだろうと思っていたが、違っていた」
「よくあることですよ。予言者でも当たりませんよ。外れている予言、かなりあるはずです」
「予言ではない。予想、予測だ」
「理詰めで決まるようなことですね」
「大概はな。そんなに外れるようなことなら、予測などせん。やっても無駄なのでな」
「期待とか、希望とかが入りますしね」
「いや、悪い予想もある。期待などしておらんこと」
「いつも当たっていたのですね」
「しかし、たまに外れることがある。予言者のようにな」
「はい」
「しかし、最近は外れることが多い。予想が当たらんのじゃ」
「何か因子が違うのでしょうねえ」
「よう分からん」
「まあ、いつもとは違うのでしょう。時代も違いますし、世の中の様子も違い、人も変わりますから。それに色々な仕掛けも変わりますからね」
「それでな」
「何か、ありますか」
「予想したものが当たらぬのなら、それではないと言うことだけは当たる」
「はあ」
「予想したものは無視すればいい。それではないと」
「じゃ、予想になりませんが」
「予想したもの意外にアタリがある」
「それは広いのではありませんか」
「白か黒なら二択じゃ。白を予測した場合、黒がアタリ」
「それなら、最初から黒を予測すればいいのでは」
「だから、予測すると外れる」
「じゃ、白を予測した目で横の黒を見ているのですね。アタリはこちらだなと」
「いや、それなら、最初の白の選択は予測にはならない。予測とは、おそらくこうなるだろうと言うことだからな。最初からこうならないものを予測せんだろ」
「では、いつも通り予測を信じて」
「本気で信じる。これが大事だ」
「信心ですね」
「そうじゃない。そうなるようになっておると思えるからじゃ。そう思えないものは選ばない」
「しかし、選ばなかったものが当たっていたりするのですね」
「まあ、いい。全部が全部外れるわけじゃない。殆ど当たっておるのだから、選ばなかったものを選ぶのは愚」
「賢すぎて、深読みしすぎて、裏の裏の裏まで行くこともあるでしょうねえ」
「まあ、いい。たまに外れることがある程度。そういうこともあるだろうと思うしかない。予測は予測、外れても仕方があるまい」
「そうですね。ではいつも通りに」
「うむ」
了
2023年5月3日