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勢い
勢いのあるものでもそれが陰り出すことがある。殆どのものはそうだろう。いつまでも天下を取っているわけではないが、それが長いと、その下で暮らすものは、生まれたときから死ぬまで、ずっとそのものの天下のまま。
ただ、勢いが長くても、同じ勢いではなく、時と共に変わっていく。同じ天下だが、一寸違う。天下が変わるわけではないが、質が変わるのだろう。
ましてほんの数年で入れ替わる世界では、天下は短い。一年目の勢いが二年目にさらに強くなり、そして三年目になると落ち着く。勢いが止まるどころか落ちている。それでも、まだそのものの天下だ。
しかし、そうなってくる前に、下の方から新星が現れ、それが徐々に育ち、勢いを増していく。いずれ取って代わるのだろうが、そういった新星は他にもある。その中の一つが次期天下人だ。
最上にいるものの勢いがなくなってきたとき、上がってくる新星に注目する。先物買いではないが、それとなくマークしている。
それで、上へと上がってきた新星の中で、一番勢いがありそうなのを見付ける。まさに目星を付けるわけだ。
これは今、天下を取っているものがまだ勢いがあり、まだまだ先があるのなら、それほど注目しない。しかし、勢いがなくなったのを見たとき、それに代わるものを探すのだろう。
しかし、期待された新星も、途中で終わったりする。まだまだ序の口なのだが、それ以上進めなかったようだ。
そしていいところまで上がっていったものも、そこで終わる。天下を前にして。
たとえ天下を取ったとしても、取ったときに勢いを使い果たしてしまい、長くは続かない。
そして、今、天下を取っているものは取ってからも結構長い。だからまだまだ余裕のある状態で天下を取ったのだろう。しかし、それもやがて衰える。そしてそれが見えてきている。
新星では天下への道が長すぎる。だからナンバー２とかが取って代わるのだが、この二番手三番手が弱いと、さらに下の方に注目が行く。
しかし、勢いは最初からそれほどないのに天下を取り、その後、同じようなことを繰り返しているものもある。案外こちらが長続きしたりする。
了
2023年6月10日