小説 川崎サイト

 

後釜

 

「落胆したねえ。一時はよくなかったが、復活したと思ったのだが、そうじゃなかった。これはもう見切りをつけた方が良さそうだね」
「しかし、まだ続いています。私たちにとってはメインです」
「方針を変えるか。先方が変わらないのなら、こちらが変わるしかない」
「すると、メイン替えですか。候補はありますか」
「今のメインがほどよいのだがね。メインを変えると、別のものになる。我々の方針とは違うものになる」
「その方針、変えますか」
「君はどうだ」
「変えてもいいと思います」
「君も見切りをつけたか」
「かなり前からです」
「そうだね。ある時期から落ちたねえ。期待したものじゃなくなっていった」
「その期待、変えるわけですね」
「メインでは期待できないからね」
「探さないといけませんが、サブとか別枠でやっているものの中にあるような気がしますが」
「タイプは違うが、今のメインを超えているのは確か。しかし、タイプが違う」
「じゃ、そのタイプに合わせればどうでしょう」
「それしかないか」
「私たちの認識を変えるのです」
「それは変えにくいが同タイプのものに変えることはできる」
「はい」
「しかし、今のメイン、期待以上のものになったとしても、我々は受けられるだろうか」
「はあ」
「そこまで望んでいないような進展があったとしても、我々がついて行けるだろうか」
「それは無理です」
「だから、今のまま停滞しているメインでもいいのかもしれない」
「どちらですか。駄目なんでしょ。今のメインは」
「駄目だが、我々には合っている。あの程度が」
「でも期待はできませんよ。それに先細りです」
「今のメインに近いものを、もっと探しなさい。乗り換えてもいいので。ただし同じタイプでないと困るよ」
「じゃ、私たちは変えないで、メインを変えるのですね」
「いや、我々も変えてもいいのだが、これは認識を変えることになる。これは面倒だ」
「じゃ、今のメインでいきますか。これまで通り」
「いや、変えたい」
「どちらですか」
「そのうち彗星のように現れるかもしれない。突然な。何も考えずに変えられるような」
「そんな頼りのないものを待っていたのでは」
「そうだね。まあ、今のメインの後釜を思案中ということだ」
「じゃ、何も決まっていないわけですね」
「変えたいというのは決まっている」
「じゃ、探してみます」
「そうしてくれ」
「はい」
 
   了


2023年11月4日

 

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