小説 川崎サイト

 

迷い込む

 

 おかしな町や村に迷い込み、大変なことになる話がある。その場合、どうしてそこに迷い込んだのだろう。
 そこに迷い込んだ。これは考えられるが、迷子か。
 そしておかしな村。可笑しな村なら楽しそうだが、村に入ってからおかしさを感じるのはどうしてだろう。この場合、悪い方でのおかしさもあるが、何となくおかしげな場所とかもある。
 他の場所と比べて、何か違う。それを見たのだろう。こんな物が建っているはずがないとか一寸時代が違いすぎると思えるような。
 そういう場合は電柱を見ればいい。それがなければかなり昔だ。そして屋根が茅葺きで、一軒ではなく数軒だと、これはおかしいどころではない。観光地なら別だが、そういう場所ではない。
 町や村は普通だが、そこにいる人がおかしいとかもある。服装がおかしいとか、顔立ちが違うとか。こちらも怖いが。
 しかし、そういう所に行こうと思い、入り込んだのではなく、迷い込んだ。これは引っ張り込まれたのか、または偶然か。
 さらに迷い込む前はどうしていたのだろう。何かの目的でそのあたりに来ていたはず。その途中で迷い込んだことになる。
 それまでは迷子ではなかった。そしてどこかで迷い込んだことになる。
 その地点は分からないが、既に入り込んでしばらく進んでいたのかもしれない。そこは初めての場所なので、そんなものだと思っていた。まだはっきりと、これはおかしいというものに出合わなければ。
 迷い家、迷い里などが山中にあったりする。家なら規模は小さいが、里となると、スケールが大きい。人も多くいるだろう。
 その迷い里。遠くの方に見えるのなら、蜃気楼のようなもの。実感はないし、接触もまだない。
 ただ、そういう山中に突然現れた里などは不気味や不思議を通り越している。遠くにあるので、よく分からないため、そういう里があると思うのかもしれない。知らないだけで、ここにも村があると。
 ただ、遠目で見ていたとしても建物の形ぐらいは分かるはず。今のものなのか、古い時代のものなのかが。
 しかし、かなり古い家がまだ残っている可能性はある。逆に過去や現在ではなく未来の建物は希だろう。
 地図にない村とか隠れ里がもしあるとすれば、こっちの世界ではないのかもしれない。しかし、簡単に迷い込んだだけで行けるものではないだろう。
 
   了


2023年11月30日

 

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