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驚き
驚きというのは知っているためだろうか。吉田はそれに類することを体験した。驚きにもいろいろなタイプがあるはずだが、その中の一つ。
それは既知のもので、よく知っているもの、だから平坦で見通しのいい道を行くようなもの。過程も結果も分かっていること。しかし、それが違っていた。
それで驚いたのだが、それはここではそうなることはないと勘違いしていたため。
予想通りではなかった。これは良い意味で外れてくれたので儲けもので、さらに驚かせてくれたので、これは感謝すべきだ。
予想が外れたことに感謝。これは結果よしなら良いが、そうでない場合は、落胆するかもしれないが、今回は淡々としたもので終わると思っていたので、期待も何もない。ただの時間つぶしのようなものだが、先々のことを考えると、それをやっておいた方がいい。しかし、実際には先々のことが起こっているようなもの。
ここではそれがないだろう、先々ももしかしてないかもしれないようなことが起こった。
早い目に先のことが来てしまった感じだと、それは早すぎる。それに先々のものの価値も下がるかもしれない。既に体験済みなら。
先々で、この次かもっと先に驚くはずのものを今、驚いている。だから早い。
これはそのものをよく知っているから驚くことであって、何も知らなければ、それほどびっくりするようなことではなく、実はありふれたことなのだ。
しかし、これは場が違うので、そうなるだけで、その場をよく知っていると、驚くべきことになる。
これは吉田が場を作っているようなもので、その場にふさわしい心づもりでいるため。
だから今回の驚きは、その場にしては凄いと感じたのだろう。場は条件によって違う。フライ級とヘビー級を一緒の場で戦わせないように。
それよりも吉田が感じたのは、知っていて初めて驚けると言うことだった。
そして予想とは曖昧なものだと思ったが、これは予測ではなくそう思いたいだけなのかもしれない。ただの憶測であり、希望。
ただし、それ以上のものが出てきたとき、その意外性に驚くだろう。それだけのインパクトがあった。そのインパクト、それほど珍しいことではなく、場所によってはありふれている。しかし、めったにそんなことが起こらない場なら、ものすごい驚きとなる。
しかも今までその場では見たことがないようなものが出てきた場合は。
だから場と場合。場に時間が加わる。タイミングだ。
いずれも吉田が勝手に組み立てたもの。世間一般のものも取り入れているが、吉田のオリジナルな好みも入っている。実はそちらの方が大事。
大したことはないだろうという思い込みもある。それがいい意味で裏切られた場合は、驚きも大きい。
そして吉田の本当の望みは驚きたいだけかもしれない。だから何でもいいのだ。
ただ、悪いことが起こった場合、驚きたくないが。
了
2024年2月7日