小説 川崎サイト

 

ついでにやる

 

 何かのついでにやってしまうことがある。ついでなので、そして目に付いたり、思いついたので。
 これはそのときはメインではなかった。あることをやりに行き、別のことをしたのだが、当然メインをやったついでに違うものをしている。
 場合によってはメインよりも大事なことだと思い、メインを飛ばしてやることもある。そんな大事なことならメインとしてやるだろうが、放置していたのだろう。または、今ではないと。さらに面倒なので、その機会が来たら、とかで。
 本を探しに行き、そのタイトルとは別のタイトルが気になり、それを取り出すとかもある。メイン食いだ。ただ、そのときのメインはそれほど大したことではなかった。
 ついでなのでできることがある。それ一本に絞ると何かやる気がしない時など、ついでならできることがある。ただし、それを思い出したり、目に付かないと出てこないが。
 ちゃぶ台の茶碗を片付けようとしている時、その下に落ちているゴミが気になり、ついでにゴミを取り払ったとかなら日常的にあるだろう。
 目的は茶碗を片付けることでゴミではない。またそのゴミを取りに行くためだけに動くほどのことではない。掃除する時に一緒にそのゴミを捨てればいい。
 これも、ついでだからやったことで、別に不思議な行為ではない。目に付いたので。
 しかし、目に付いていてもゴミを拾わないこともある。
 どちらにしても何かのついでが便利。
 これは思いついたらすぐに実行するパターンで、少し考えると駄目。思いつきが冷めないうちにさっさと食べる感じだ。
 何かのついで。これは捉え方が軽い。だからやりやすい。
 また、ついでにやったおまけのようなことが、意外とよかったりする。メインよりも。
 吉岡はその「ついで作戦」が上手く行って気を良くしていた。何事もついでにやればサッとできそうだし、考える間もないので、楽。
 さらに深読みし、本当に大事なことはついでの中に含まれているような気もした。元々大きな案件だったのかもしれない。
 しかし、やる機会を逸していた。そのきっかけを作ってくれたのが、ついで。ついででならできるという軽い気持ち。
 しかし、ついでが成立するには、メインがいる。メインをやりに行き、とか、やっている時とかの目標がいる。向かうものだ。
 これは実は大したことではなかったりする。やれることなのでやりに行ったので。また、ネタは小さいが、緊急性を要するだけで中身はどうでもいいような野暮ったいものが多い。
 だからついでに大事なことをやるというパターンになるが、それを目論みすぎると、ついでを意識しすぎて逆効果。
 急に思い出したとか、思いついたとか、目に入ったとかの方がいい。だからついでだからいいというスタートの軽さは、目論んでいる時はできない。
 しかし、そんな作戦を立てなくても、大事なことならさっさとストレートにやればいいだけの話だが。
 
   了

 



 


2024年2月9日

 

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