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本命崩し
狙っているものよりも、その周辺ばかり木村はやっている。狙っているものは良いものなので、それをやる方がいいのだが、どうも気乗りがしない。
逆にその周辺のものはやりやすい。本命から少し逸れてはいるが、かなり近い。そして狙っている路線から離れるほどこなしやすい。つまりやりやすい。気楽なため。
その気楽度は狙っているものから離れるほど高くなり、より気楽になるが、その代わり薄くなる。本命から外れすぎるため。
しかし、それに近いので、悪くはない。そこからさらに外れると、もう興味が薄れる。だから時間の無駄なようなもの。それをやらないといけない義務や義理があるのなら別だが。
狙っているものに近いもの。遠すぎても駄目で近すぎても駄目。近すぎると、ほぼ狙っていたものと同格になる。それを越えるかもしれない。
狙っていないのに、狙っていたものと同等やそれ以上だと儲けもの。これは入り方が気楽。だから実行できた。
最初から狙っているものは敷居を感じ、なかなか実行できない。期待と不安が混ざっている。だから、いきなりやれば問題はないのだが、その正体がある程度分かっているので、知らないでやるというわけにはいかない。
それで木村は本来やるべきことではなく、その周辺ばかりやっているため、本当に狙っていたものができない。
しかしそれに近いものは多くあり、そちらをこなす方が多く、これも悪くはないとなり、最近は周辺攻めに徹している。これはゲームのようなものだが。
本命はあるのだが、それは一応ある方がいい。そしてそれをしなくてもいい。そう考えるようになったのは、しばらく本命から遠ざかっていると、ものすごく大層なもののように思えてしまい、圧がかかる。
だから以前よりもその本命、高々と聳え立つように見え、価値もさらに上がった。
本命をしなくても周辺のものだけでも事足りるようになると、ますます本命から遠ざかる。だから、さらに近づきがたくなる。
狙っているものがそこにあるのに、たどり着けない。
周辺のものは、本命があるので周辺。だから本命が消えると、周辺も消えるようなもの。
狙っているものは複数ある。一つではない。だが、そこにもランクがある。そしてそれは本命の中の一つなので、周辺ではない。
周辺のものといってもどれが本命の周辺なのかが分かりにくいのもあるし、混ざり合っているのもある。
そして、その周辺のもの、そこでは周辺だが、本命になり得る可能性もある。ほとんど本命に近いものが入っているので。それが卵を産み、新たな親方になる可能性もある。
しかし、周辺部でごちゃごちゃしたことになっていても、相変わらず本命である狙っているものは健全で、これはなかなか変わらない。実行していないためもある。
木村は最近、そんな分け方をしない方法を考えている。意味で括るので、分けてしまい、区別してしまうのだ。これは整理しやすいし、分かりやすい。ただ、その弊害もある。
了
2024年3月11日