小説 川崎サイト

 

見え方

 

 いつもの見え方、見方というのがある。これは慣れてくると、それが一番よくなり、違う視点とかでは逆に分かりにくくなったりする。
 本当は逆で視点を変えれば見えるものも変わってくるはず。しかし、そのものが違うものではない。同じものだ。だから捉え方が違う。
 ただ、どう捉えても同じもの。そのものには変化はない。見る側に変化があっただけで、これもいつもの見方でも実際にはできること。一歩踏み込んで覗けばいいだけ。
 それと、いつもの見方だと、変化に気付きやすい。いつもの見え方の中での一寸した変化は気付きやすい。
 見方を変えると、最初は新鮮で、同じものでも違ったように見えたりする。これも慣れてくると、変える前と似たようなものだが、全体が見渡せたりすると分かりやすい。
 ファイルの並べ方を変えると、順番が変わり。また逆さにもできる。中のファイルは同じだが、切り取り方というか、都合のいい並び方になっている方が探しやすい。そして一覧性もいい。新しい順とか、ファイル名順とか。
 人もそういう切り替えをやって見ているのかもしれない。ただ機械と違い別のソフトに変えるわけにはいかない。全く違う仕掛けのソフトで、かなり便利なソフト。
 これは本人を変えるようなものに近いので、そこは変えられない。見え方を少し工夫する程度。
 見方や捉え方を変えると、新鮮に見え、新たな展開とかが生まれたり、違う発想が生まれるかもしれないが、あるところが快適になると、あるところが不便になる。
 今までの見え方よりもよくなったが、今までできていた機能が、乗り換えると使いにくいか、使えなかったりする。
 いいところだけを取るわけにはいかないのだろう。悪いものも付いてくる。
 しかし、見方なりを変えたくなることもあり、その場合、リスクもあるが、やってみたくなる。リスクというか不便になるかもしれないが何とか工夫してリスクを減らせる。
 それなら今まで通りの見方でもいいのではないか。同じようなことができるのなら。ただ少し不便だが。
 それよりも刷新された新鮮さで、今まで気付かなかった発見もある。こちらの方が本来だろう。
 一寸これまでとイメージが違う。同じものを今までも見ていたのだが、そこに発見のようなもの、見逃していたものを見つけたりできる。
 これは環境が変わると、見え方や接し方も違うようなもの。そういう立ち位置から見ると、違う展望になる。
 高いところからも低いものは何とか見えるし、低いところからでも高いところも何となく見えている。どちらから見ても同じようなものだが、切り替えると新鮮に感じられる。そこがいいのだろう。
 
   了


2024年3月19日

 

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