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強さと弱さ
「最近の調査で分かりましたか」
「以前からそうなんだから、今始まったことじゃない」
「どういう結果が出ました」
「弱いものと強いもの」
「はい」
「弱すぎや強すぎは問題だ。そこまで望んでいない」
「じゃ、やや弱く、やや強いのがいいのですね」
「できれば中間がいい。弱くはなく強くもない。しかしそれほど弱くはなく強くはない。その程合いが大事なんだ」
「どちらかに傾かないことですか」
「いや、どちらにも傾いている。ただ徹していない。弱いだけ、強いだけじゃなく。その中間もしっかりとある。ここは憩えるねえ」
「憩える」
「休憩できる。弱い刺激だけじゃ退屈で休んでいるようで休んでいない。強い刺激ばかりではそれこそ休めるところも欲しい。そのときは憩える。また弱くて退屈なものでも少し強い目が入ると、意外とそこが休める」
「微妙ですねえ」
「そして意外性だね。これが一番難しかったりする。同じ意外性は何度も来ないからね。もう意外じゃなくなる。ただ期待は来るがね」
「そういうものが調査でありましたか」
「ない」
「そうですか」
「しかし、それに近いものはある。狙うとすればそこだね。それではないが、それに近いもの」
「難しいですねえ」
「そうだね。我が儘の言い過ぎだから」
「はい」
「弱いようで強い。強いようで弱い。そんな感じだ。これは調査する側の問題でね。そのもののことじゃない」
「さらにややこしいですねえ」
「それに近いものを発見されましたか」
「ああ、見つけたよ。近いだけでそのものではないし、またそんなものは存在しにくいので、まあ、探しても無駄。偶然行き当たるかもしれないが、近いと言うだけで十分だと思いますよ」
「はい、ご苦労様でした」
「意外性の問題だがね」
「はい、補足ですか」
「そうだね。これはね、弱いものが意外と強かったというところかな」
「その逆はないのですね」
「そうだね。強いものが意外と弱かったはない」
「はい、ありがとうございました。また何かありましたら調査、よろしくお願いします」
「ああ、了解した」
了
2024年4月10日