小説 川崎サイト

 

冴えない日

 

 何となく冴えない天気の日だった。
 曇っているためだろう。昨日までの暖かさがなくなり、少し肌寒い。昨日は暑いほどだったので過ごしやすい春の中頃。このまま初夏になり、暑くなるはずだが、今朝は気温の上昇は一休みで、逆に涼しい。
 それはいいのだが、竹田も冴えない。いつも冴えているわけではないので、そんなものだろう。晴れておれば空元気も出るのだが、今日は大人しいというよりこれで平常のよう。
 本来の竹田だ。背伸びしたり、あらぬ事をやろうとする竹田ではない。ただ、それは保守的で、守りの竹田。
 では何を守っているのか。
 それは竹田自身を竹田が守っている。しかしそんな敵はいないのだが、竹田自身が敵になることもある。敵を生産しているようなもの。それは竹田の外の存在のだと仮想敵となる。
 それと竹田自身の中でも内乱が勃発する。元気な証拠かもしれない。
 そうやって忙しいときは元気がある。冴えないときよりも活気があるが、その代わり余計なことをしてしまう。
 だから、今日のように冴えない日が入ってもいい。逆に落ち着く。一寸休戦。しかし別に戦っているわけではない。
 そして冴えないのは天気のため。日々やっていることが飽和状態になり、次の手が打ちにくくなっていることも関係する。
 その次の手とは新たな展開とかだ。これがあるとやることができるので、活気が生まれ、一日も充実する。しかし、何もなければ酔生夢死ではないが、そのまま維持か後退。
 ただ酔いもしないし夢見心地でもない。正気だ。この正気が曲者で、ごまかしがきかない。何かの錯覚で動いている方が元気がいい。
 さて、それで今日は冴えないのだが、竹田はそれでもいいと考え直した。クールダウンし、冷静さが戻るのだろうか。
 やや退屈だが、そんな日も必要。
 
   了


2024年4月21日

 

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