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夢心地
「夢心地はどうですか」
「最近ですか」
「そうですねえ。忘れていたことを思い出します」
「それは現実ですか」
「ええ、現実にあったことです。記憶にありますので、思い当たります」
「リアルで見る夢はどうですか」
「現実での夢ですか」
「そうです」
「夢とか希望とかの夢ですね」
「そうです」
「あまりありませんねえ。小さな事ではあるのですが、大きな夢はありません。小さな夢は夢と言えないほど」
「じゃ、リアルでの夢は見ないと」
「見てますが、それは夢のような夢で、現実には無理な夢ですよ。だから、妄想に近い」
「あり得ないことが起こる。これは夢でしょ」
「夢の実現ですね」
「そうです」
「でも思っているようなことが日頃からなければ、いくらあり得ないことが現実で起こっても、夢の実現とは言えないでしょ。やはり抱いていないと」
「じゃ、そういう夢は抱いていないと」
「だから、上手く行けば良いと思うことがありますよ。でも夢と言えるランクではなく、普通に叶ったりしますし、駄目でもそんなものかと諦められます」
「では夢心地はどこで味合うのですか」
「別に味合わなくてもよろしいかと。それと寝て見る夢でも結構良いのがありますよ。目覚めたとき、まだ夢心地が残っています。悪夢じゃ駄目ですがね」
「そうなんですか」
「そうなんです。それで忘れていたことを見た夢で思い出したとき、それがなぜか気持ちが良い。普段差さないようなところを差してきますからね。ああ、あれもあったんだ。あんなこともあったんだと。これはただの夢ですからね。ただ、見ただけのことで、何かを実現させようとする夢ではありません」
「困りましたねえ」
「え、何が」
「夢を実現させる方法を教えようと思ったのですが」
「願望実現の」
「そうです」
「間に合ってますので」
「何か夢を抱いてください」
「つまらない妄想はいくらでもありますが、夢とは言えないレベルです。それに叶わなくても仕方がないと思えるレベルなので、いいですよ。そんな方法は」
「夢を引き寄せる方法です」
「だからその夢がないのです」
「夢がない。それは不幸だ」
「そうなんですか」
「そうでないと需要が」
「その方法、お金がかかりますか」
「いえ、無料です」
「じゃ、成り立たないじゃないですか」
「私の好意です。それを伝えるは」
「悪意じゃなく」
「そうです。夢を実現させたい人に役立ちます」
「じゃ、お節介」
「余計なお世話ではありません」
「あのう」
「何か」
「根本的なところで食い違っているようです」
「あ、そう。だから乗りが悪かったんだ」
「はい、苦労様」
了
2024年6月1日