結果と過程
川崎ゆきお
二人の青年が過程が大事か結果が大事かで話し合っている。
「結果よければ、全てよしでしょ」
「結果がでなければ？」
「よくないねえ」
「そのてん、過程を大事にすれば、結果は関係なくなるよ」
「結果を出すために、その過程があるわけだろ」
「そうだけど」
「じゃ、結果がでなければ過程も無駄だよ」
「過程そのものを楽しむんだ」
「楽しむ？ その発想がわからない」
「結果がでなくても、過程を楽しんだのだから、悪くない」
「どうして楽しまないとだめなの」
「楽しくやったほうがいいじゃないですか」
「じゃ、その過程は楽しいことが前提だな」
「過程を楽しく過ごすだけだよ」
「じゃ、苦しい過程はどうするの」
「工夫して、楽しくする」
「じゃ、楽しくするのが目的なのかい」
「結果がでなかったときの保険だよ。だめだった場合、何も残らないでしょ」
「結果がでなかったんだから、それは失敗で、それで終わりだよ」
「全部無駄になるでしょ、それじゃ」
「だから、保険かい」
「そうそう。失敗したけど、やってるときは楽しかったなあ、って感じ」
「目的を果たせなかったんだから、楽しくないよ。やっぱ、結果がでてやっと楽しいんだよ」
「過程の積み重ねが結果だよ」
「そうとも限らないぜ。自分とは関係のないことで失敗に追いやられることだってある。自分は責任を果たしてもね」
「そういうことがあっても、粛々とやるんだよ。どういう結果になろうとね」
「で、君はそれを実行してるの？」
「失敗することが見えている場合は、しないなあ」
「そうだろ。だから、結果を求めているんだよ。結果が全てなんだ」
「だから、結果がでなかったとき、無駄働きになるから、過程を楽しむんだよ」
「でも、やりたいことは結果を出すことだろ」
「うん、過程を出すことじゃないけど」
「じゃ、同じだね」
「え、何が」
「結局は結果が目的ってことさ」
「じゃ、君は過程を大事にしないのか」
「目的を達成するため、過程は大事だよ。でも、一番の目的は目的を達成することだよ。過程が目的じゃないよ」
二人はまだ、目的や過程が必要なだけ、幸せだろう。了
2009年5月8日