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デジ式とは、デジタル処理一般の意
■ソニー サイバーショット DSC-F717
メモリースティックにデータを保存するソニーのデジカメをサイバーショットと呼んでいるのだろうか。
フロッピーに保存するタイプはマビカと呼んでいた。
メモリースティックは、ガムのように長いため、抜き差しがやりやすいことと、引っ掛かりがよい。
そのサイバーショットと呼ばれるソニー製デジカメの最高級機種がDSC-F717だ。(2003/08/27時点)
Fシリーズは回転式ツアイスレンズを乗せていることで、分けているのだろうか。
500万画素で11ミリ、2/3型という比較的大きなCCDを乗せている。同じ500万画素でも、コストの安いさらに小さいタイプを乗せているカメラもある。それでも画素数は同じになるので、そこまでチェックする人は少ないが、CCDが大きいとより写真に近い画質になる。画素数が少なくても大きなCCDを乗せているカメラは、階調がより滑らかで、ノイズも少ないらしい。
ソニーも最高級機種カメラらしく、手を抜かないで、踏み堪えている。
まずは、心臓部に大きな欠陥がなく、そこそこ素性のよいCCDをベースにしたカメラということで、安心感がある。
当然、それらを犠牲にしても、何かに特化した高機能なデジカメは存在するし、画質にこだわらない人もいる。
携帯電話カメラの画質に、昔懐かしいペス単レンズを感じ、それでないと写真らしくないと思う人もいるので、写真に対しての受け止め方の違いで、どうとでもなる世界だ。
しかし、普通の写真を普通に写すのなら、そして、どうせ写すのなら、出来るだけベストな画質である方が、好ましいと思うのが人情だろう。このカメラはレンズにボディーがくっついているようなスタイルだ。
そのため、従来カメラのどれにもあたらない形をしている。
38ミリから190ミリの5倍ズームで、レンズの明るさはF2からF2.4と、非常に明るい。
大口径レンズの鏡胴を先に作り、後でモニターをくっつけた感じだ、ボディーそのものだけなら、通常のコンパクトデジカメと、それほど違いのない大きさだ。
この望遠ズームが、このカメラのメインであり、ボディーであると言ってもよい。
そのレンズ部はレンズだけではなく、ストロボやスイッチ類や、接続用コード穴も加わっているので、レンズだけの長さ、太さではない。
長いレンズで撮影する時、ボディーよりもレンズを持つのが普通なので、シャッターを押す右手に力がかからなくてよい。
このレンズはちぎれるのではないかと思えるほど回転する。しかし、固く出来ているので、レンズの重さで、動くようなことはない。
初代は背面の液晶モニターだけしかなく、完全なウエストレベル撮影カメラだったのだが、屋外では液晶が見えにくいため、アイレベルを加えたようだ。
通常のカメラの形をしていないので、買う前に躊躇する人が多いかもしれない。
カメラとはボディーのことを指し、ボディーがカメラの形を決めているのだが、このカメラはレンズが形を決めている。
そのレンズはカールツアイスの名門レンズなのだが、あまり強調されていない。
写真はレンズで決まると、昔のヤシカ製コンタックスカメラ時代には言い得ても、デジカメではそれほど大きな意味はないのかもしれない。
しかし、他のどのレンズと比べても、ツアイスのレンズは明らかに違っていたのは確かで、暗室で浮かんできた印画紙は、明らかに違いがあり、そのショックで、今まで持っていた一眼レフカメラセットを売ったほどだ。
35ミリフィルムなのにブローニーサイズで写したほどの鮮明さがあると言われた。当時の中版カメラのレンズは、フィルムサイズが大きいので、レンズ性能は適当でもよかったので、悪いものと比べての話だろう。
今は、どのレンズでも、それほどの違いはないはずだ。
遠慮しない大きさのレンズを搭載したこのカメラは、ズームやピント移動で、鏡胴の長さが変わらないので、電源を入れるとレンズが飛び出すことはない。当然、なんらかのトラブルで、レンズが出なくなることもない。
ちなみに僕は2台ほど、その事故でつぶしている。
ズームコンパクト機の、飛び出した鏡胴を指で触れば分かることだが、遊びが必要なので、グラグラしているはずだ。さらにレンズバリアーなどが加わると、蓋が開かないで死んでいるカメラを、展示台でよく見かける。
機械ものは可動箇所が少ない方がトラブルは少ない。
その鏡胴の材質がなんとも言えない質感で、それが指や掌に伝わる。ぬめっとした金属感があり、メタルカメラの質感とはかなり違う。
それは磨き抜かれた真鍮のような、また銀貨のような、肌触りなのだ。
面白いのは、レンズに指掛のようなものがあり、決して円筒ではないと言う事。レンズの真上にストロボの蓋があり、ここは四角く飛び出している。これが結構滑り止めの役目を果たしており、握りやすくしている。
レンズとボディーを繋いでいる関節部は、まるでロボットの関節のような感じで、ここに機械的な精度を感じる。
カメラに関節があるのは不思議だ。レンズ部が上下に動くカメラは珍しくはないが、ボディーよりも大きなレンズが動くので、逆に考えれば、回転しているのはボディーかもしれない。つまり、規模の大きい回転のため、操作に存在感がある。
まるで、ショットガンに弾を挿入するような仕草だ。最短撮影距離は広角側で50センチ、望遠側で90センチと、ほどほどだ。
マクロ撮影で広角側で2センチ、望遠側で90センチで、望遠側ではマクロの恩恵はない。
つまり広角マクロがメインとなるが、これは悪くはない。望遠側でしかマクロが出来ないよりははるかに使いやすいためだ。
しかし、実際にはマクロモードに入れたままでも一般的な距離での撮影は出来る。
マクロ切り替えは矢印キーに仕込まれており、押すとオンオフが切り替わる。
最初からマクロモードに入れっぱなしで撮影しても問題はない。
実質的にマクロモードがないのと同じになり、これは有り難い。
マクロモードに入っているのを忘れて、一般撮影をし、すべてピンぼけとかの事故は防げる。その逆もあり、マクロモードに入っていると思い込んで、近接撮影で合焦しないこともあるからだ。
合焦しなければシャッターが落ちないとかの機能は、付けると副作用の方が多くなる。
このカメラでは、マクロ切り替えなしモードとでも言う感じで、常にオンにしておく方がよいだろう。ファインダーは一眼レフ式アイレベル電子ファインダーと、通常デジカメと同じ背面液晶モニターの二本立て。
電子ファインダーはソニービデオカメラのそれと同じように木目が細かく滑らかだ。
従ってピントの確認はしやすい。
老眼が進んでいる僕としては、アイレベルで視度調整で見る方が、散歩中等は使いやすい。老眼鏡をかける必要がないためだ。
このカメラにとっては後付けで付けたアイレベルファインダーだが、決しておまけではない。ビデオカメラハンディーカムと同じかそれ以上に奇麗に見えている。粒子は全く見えないし、ほどほどの大きさで、小さなファインダーではない。
鏡胴部にマニュアルとオートの切り替えレバーがあり、それをスライドさせると、レンズ先端のリングがフォーカスリングとして使える。その時、中央部を倍に拡大してくれるので、ピント確認用にマニュアルフォーカスに切り替えると言う使い方も出来る。
190ミリの望遠撮影ではウェストレベルよりもアイレベルの方が追従しやすいし、カメラ保持も安定している。
マニュアルフォーカスへの切り替えや、液晶モニターとアイレベルモニターとの切り替えは、どちらもレバー式で、ボタンを押すとかよりもあいまいさがなく、しかもスムーズだ。
マニュアルフォーカスに入っていない時は、そのリングはズームリングとなり、これが非常にスムーズに、しかもアナログ的に動いてくれる。電子式のスムーズさと機械式の微調整を合わせ持ったようなズーム操作になる。
このズームリンクは動画でのズーミングでは効果的だろう。
38ミリから190ミリのズームをどう考えるかも、一つのポイントだ。
38ミリは広角の画角と呼ぶより、標準レンズに近いが画角だ。
カメラを起動すると38ミリでスタートする。やや広く写る標準レンズでのスタートとなり、実際にはズームを使わなくても、この画角だけで写してもかまわないほど、素直な画角だ。
極端な言い方をすれば、標準域から始まる望遠ズームレンズだ。
しかし、190ミリしかなく、レンズの大きさ長さに比べ、控えめなズーム比だと思える。
しかしズーム比を延ばすと、レンズの明るさも、今より暗くなると思える。
また、広角側へ延ばすのは、望遠側へ延ばすよりも大変だろう。
例えば28ミリからのズームだった場合、カメラ起動後28ミリになる。人間工学的に見て、ズームに手を回すより、そのまま写してしまうことが多い。ズームレンズは両端を使いやすいからだ。
28ミリでスタートすると広角撮影の写真ばかり出来てしまいそうだ。
28ミリは、昔は超広角レンズと呼ばれていたほど特殊な画角である。さて、細かいスペックはほどほどにし、このカメラのうま味について触れよう。その面がなければ、わざわざ買うこともないのだから。
このカメラは、ソニーのビデオカメラのスチール版だと思えば、納得する人が多いだろう。
ナイトショットという暗闇でも撮影できる赤外線盗撮の世界も、ビデオカメラからもらっている。
暗闇でも、ファインダーで確認しながら撮影出来るあたりは、暗視カメラそのものだ。
一応、夜行性動物の観測などで使うのが目的となっているが、残念ながら規制があり、5メートル弱程度となる、もう少し遠くまで写せるる。ストロボで4メートルとなっていても、4メート先は真っ暗というわけではないのと同じだ。
アーサー感度も800まである。
また低速シャッターの時はノイズ取りをしてくれる。タイム露出からではなく、20分の1秒あたりからやってくれるようだ。
但し、プログラム撮影モードでは30分の1秒以下には落ちないの。暗い場所で写すとアンダーになるが、フォトレタッチソフトでノイズ入り素粒子写真になるが、しっかりとデータは潰れず入っている。30分の1秒で写しているので、手ブレの心配は少ない。中途半端なスローシャッターよりも使える。
先程の赤外線によるナイトショットを昼間にやるとどうなるのかは、マニュアルには詳細は書かれていないが、故障の原因になるとだけある。撮影者が故障するようだ。
ナイトフレーミングモードもあり、こちらは、暗闇でナイトショットと同じ画面になり、その後ストロボで写すというものだ。通常のストロボ撮影と同じだが、暗闇では被写体が見えないので、赤外線で見えるようにする表示用だ。
赤外線発光窓はレンズ先端にある。昔のコンパクトカメラで、レンズの真上の狭い場所に露出の受光窓があったのと似ているが、こちらは発射する。少し赤みがかかる程度なので、まぶしいわけではないが、暗闇に二つの丸い点が浮かび上がることになる。
どちらが夜行性動物なのか、分からない。
このあたりのサバイバル性は、サイバーショットの最高機種らしいハイテク兵器だ。
ナイト関係のモード切り替えは、レバー式で、最も触りやすい箇所にある。通常撮影とナイトショットや、ナイトフレーミン切り替えが、同じところに並んでいるところが凄い。本来なら、一枚取りか連写か、などの切り替えが普通だが、このカメラは通常撮影か赤外線撮影かの切り替えスライドレバーとなっている。レバー式なので、一度セットすれば、そのままだ。そのため、非常に優遇されていることが分かる。
サイバーショットはハイテク兵器カメラで、暗視ゴーゴーグルともなるファインダーで撮影出来るカメラだ。
このあたりは従来カメラでは出来ない領域に踏み込んでいる箇所だ。実際の撮影では、プログラム撮影だけでも十分で、絞り優先やシャッター優先モードは、さほど必要とはしないが、従来カメラからの癖を継続している人は、好みの写し方があるわけで、絞り優先オートでないと写した気がしない人もいるので、選択肢があった方が好ましい。
電源は撮影ダイヤルと同軸に大きなレバーがあり、それを押し込めば起動する。
起動は瞬時で、待たされることはないので、小まめにオンオフを繰り返しても気にならない。電源を入れ、すぐにファインダーを覗けばすぐにシャッターが押せる実用起動時間だ。待たされるというのは、覗いても、まだ完全に起動仕切れていない機種を指す。このカメラにはそれがない。
オフもオンも、そのレバーを押すことで切り替わる。オンの時は、軍艦部に青いランプが常についているので分かりやすい。当然放置すると自動終了する。そのためオンとオフが同じ動作となっているのかもしれない。アイレベルでの撮影は、レンズが大きいことと、それなりの重さと長さがあるためか、構えやすくブレにくい。レンズが長いとテコの原理で安定性が増す。ファインダーを覗いていても、画面がしっかりしているように見えるのは、ぐらつきが少ないためだろう。
鏡胴の根元、通常カメラのマウント箇所がくびれているのも、握りやすさに貢献している。これが単なる金属の単調な円筒なら滑るだろう。
また190ミリまでの望遠のため、十分手持ち撮影は可能だ。
レンズも明るいため、夕暮れでもハイシャッターが切れる。鏡胴がボディーのようなカメラのため、重心もレンズ側にある。三脚ネジもレンズ側にあることでもそれが分かる。
屋外で普通に写す場合は、アイレベルで写す方が合っているが、極端なローアングルなどでは回転ボディーが効果的に決まるし、対人撮影ではウェストレベルの方が、穏やかだろう。
また、射撃の時、アイレベルで狙い撃ちするスタイルでは、周囲の様子が見えなくなり、防御力が甘くなる。
そんな時は腰にショットガンを構える感じで、射撃しながら進む方法もある。スナップ撮影で、肉弾戦になった時は効果的なスタイルだ。ストロボ関係は外部ストロボも使えるようだ。ストロボのオンオフは十字キーで一発で切り替えられる。他のサイバーショットと同じ仕様だろう。一度切り替えると記憶される。この切り替えや記憶はメニューから選ぶ必要がないので、素早い。
その他のスペックは、今のデジカメの持っている機能を、ほぼ満たしているので、基本的なスペックの詳細は省略する。
ちょっと変わっているのはジョグダイヤルが付いていることだろう。
絞り優先やシャッター優先モードなどで、絞りやシャッター値をこのダイヤルで合わせるのだが、ジョグダイヤルはダイヤルそのものを押すことで、確定とかの役目も行う。
ジョグダイヤルはシャッターボタンの近くにあり、操作しやすい優待位置だ。
ジョグダイヤルが使えるシーンでは、ファインダー内に、ジョグダイヤルマークが現れる。
何に対しての変更なのかを選択し、その後数値などを選択する仕掛けだ。
AF枠の選択もジョグダイヤルを回して行くと、位置が切り替わる。
これはアイレベルで覗きながらも出来るので使いやすい。
すべての選択を十字キーだけに頼るよりも、位置関係として回したり押したりしやすいので好感が持てる。
ダイヤルは軽快に回る歯車のような感じで、力をかけなくてもすむ。ボタンなどではどうしてもある程度強く押さないと反応しないので、カメラが動くほど強く押すこともあるのだから、ジョグダイヤルの軽快さは悪くはない。オハジキを縦にしたような感じだ。
ただ、プログラムオート撮影ではそれほど使う機会はないかもしれない。保存サイズの中に3対2比率保存がある。35ミリフィルムのネガのように、やや横長の比率だ。
フィルムスキャナなどでデジタル化していて、途中からデジカメで撮影するようになった人でも、比率を揃えられるので重宝するかもしれない。
最終仕上げを、トリミングなしの35ミリフルサイズでプリントする人にも、撮影状態から確認できるので、仕上がりを読みながら構図を作れる。
ファインダーの上下に黒幕が降り、そのサイズの視野になるが、ファイルサイズは変わらない。
また、この3対2が可能なのは、最高画質のみである。プログラムモードでアーサー設定をオートにすると、暗い場合は自動的に感度アップされる。
標準は100のようだ。
アーサー感度を上げるとノイズが発生しやすい。フィルムカメラと同じだ。
撮影データを調べると、暗い場所では360まで感度アップされている。
このあたりが限界だろう、それ以上感度を上げると、自動設定では危なくて使えない。露出は得られても、厳しい画質となる。
手動で800まで上げることが出来るが、それは確認してからなので、覚悟の上での感度アップということで了解出来る。
ちなみにナイトショット時のアーサー感度は2400となっている。
凄まじい感度アップだ。色彩が消えて当然だ。
このカメラはアーサー感度100から800となっているが、隠しスペックで2400までいける。
2400は400よりも6絞り分明るく写せる。
赤外線とアーサー感度の関係は、よく分からない。
ある意味で、赤外線が届かない遠方でも2400の増感で写せるということだ。
アーサー感度切り替えと言う裏技をナイトショットにレバーをスライドさせることで可能だ。
プログラムオートモードでは30分の1秒以下にはならないので、アーサー感度を上げることで、室内でもストロボなしで写せる。
400以上にアーサー感度を上げると、ノイズで、写真として辛くなるので、オートでもある程度の画質を保証するということで、カメラに任せ切ってもよい。
夜景モードというのもあるが、スローシャッターとなる。今度はノイズではなく、手ブレで辛い写真となる。
当然、絞り優先やシャッター優先や、どちらも手動で合わせるマニュアル撮影モードでは、任意のアーサー感度で撮影出来るし、スローシャッターも可能だが、仕上がりを読める人でないと、1秒前後のシャッターになっていても平気で手持ちでシャッターを押してしまうだろう。
プログラム撮影でも、絞りとシャッター値は出るし、データにも残る。
かなり高速シャッターで、絞りは開放気味になるラインのようだ。
デジカメは絞り込むのは得意ではないようで、出来ればレンズは開放で写す方が、安全なのだろうか。
しかし、レンズ性能には自信のあるはずのツアイスレンズなので、このレンズは昔から開放で使う方が好ましいようだ。
そのレンズの個性は開放で分かるのだから。
また、デジカメのレンズは魚眼レンズほどに深度が深いため、絞っても意味がないのだろう。その他、気づいた箇所を記して行く
ズームレバーはレンズ鏡胴左手側にあるが、このカメラではレンズ先端に電子ズームリングがあり、ほとんどモーター音がしないので、機械式かと思えるほど気持ち良く、また微妙なフレーミンが可能だ。
この電子ズームを回す方向を設定出来る。機械式でもメーカーにより、ズームリングの方向はまちまちだった。
電子ズームの恩恵で、どちらに回せば望遠になり、広角になるのかは、使う側が決められるのは、ありがたい。
また、電子ズームリングとして使わない設定も出来る。
同じリングがピントリングにもなるというあたりは、単なるスイッチなのだが、その幅が広いため、微調整がしやすいというアナログ的意味がある。
デジカメのレンズ部は触ってはいけない機種もある。グラグラするからだ。しかし、一眼レフで望遠撮影では、レンズを握りたくなるはずだし、また、レンズのどこかを動かしたくなる。通常カメラなら、絞りリングやズームリング、そしてピントリングを常に調整しながら撮影していたわけなので、レンズ側に何もないのは寂しい。
このカメラは、その手の寂しさを、ズームリング、ピントリングとして触らせてくれる。電源オンオフレバーが非常に大型で、操作しやすい。モードダイヤルの下に隠れているような感じではないので、大胆にレバーを押せる。
大きなデジカメでも、爪の先を立てないとメインレバーを回せなかったり、スライドさせられなかったりするものもある。
デジカメで一番多く触るスイッチは、電源関係だ。このカメラは、それをよく知っている。ストラップを首や型から外して手でカメラを持つ時、レンズ鏡胴部をしっかり握れるので、持ちやすい。また、そこからカメラをかまえる時も、既に左手でレンズを握っているので、スタンバイがスムーズだ。
レンズに比べ、シャッターダイヤルやファインダー窓のあるボディーが小さいので、レンズが持ちやすいということだ。
当然右手で、ボディー側のグリップを握ったままでの携帯も悪くはない。カメラそのものは軽いのだが、真がきっちりと入っている感じがある。
右手グリップに、指を立てた状態でも持ち歩ける。バランスがよい証拠だ。バッテリーはスタミナ電池で、ソニービデオのMサイズバッテリーをそのまま流用しているため、電池の持ちを気にすることはない。
充電はカメラに入れた状態で出来るが、ビデオ用での充電セットをそのまま使える。
ソニーのこのバッテリーは使用可能時間を100分とか200分とかで、モニター上で表示してくれるため、非常に分かりやすい。
プレビュー画面と撮影画面とでは、残り予測時間が違う。写した写真を見ているだけなら、当然残り推定時間は撮影モード時よりも長い。消耗予測時間を知らせてくれるのだ。
いずれもビデオカメラ側の技術や、部品をそのまま使っているので、その恩恵は高い。
他のデジカメのバッテリーメーターの多くは電池の形をしたバーが出るだけで、減り方はアバウトだ。どれぐらい電池が残っているかより、何分持つのかを示してくれるソニーバッテリーシステムは分かりやすい。動画はMPEG1で音と映像を保存出来る。クイックタイムやAV形式が多い中で、貴重な存在だ。これも、ビデオカメラでテープではなく、メモリカード上に保存するビデオカメラの形式を踏破しているので、違和感はない。
ビデオ編集ソフトで、後で簡単にいじれるが、カメラ側にも編集機能があり、切り取りなども出来る。不必要な箇所や、失敗している箇所をその場で削除出来る。
ビデオモード中もズームは出来るし、ピントも生きている。ビデオとは別に、GIFアニメ機能もある。一枚撮り写真をポンポンと撮影しGIFアニメとして保存出来る。こちらの方が実用性が高いかもしれない。
この機能は、他のサイバーショットでもおなじみの機能だ。レンズ性能では、5倍ズームで、10倍ズームリングほどは欲張らないメリットとして、レンズが明るいことと、設計的にもゆとりがあるのか、歪みは少ない。
樽型や陣笠の歪みが出過ぎるレンズは、建物と地面の境目などが、画面の下の方や上の方にあると、平行ではいられない。
また電信柱が画面の端に来ると、歪んだ柱となるレンズもある。これはフォトレタッチソフトで補正出来るが限界はある。
このカメラは、その歪みが目立たないので、その心配はない。
35ミリからではなく、38ミリからのズームとなっているのも、無理をしないということだろう。
歪みや周辺光量の低下や、周辺が甘いレンズは、かなりやる気を失わせる。
後で甘くは出来るが、その逆は出来ない。
遠慮のないレンズの大きさ重さなので、コンパクトにすることによる犠牲も少ないだろう。デジカメの健全な進化は一眼レフシステムカメラを目指すのではなく、デジカメだから出来る機能を駆使し、写す楽しさや、通常カメラでは出来ない境地を掘り起こすことだと思う。
オート撮影で使い勝手が決まるのはロック関係だろう。AFロックやAEロックだ。
ピントと露出をカメラに任せる方が、カメラを素早く取り出し、素早く写すためには好ましい。
しかし、思っている露出にならないこともあるし、ピントを固定し、待ち受け撮影や、連続撮影をしたい時もある。
シャッターボタン半押しでAEロックとAFロックがかかる。一般的な仕様だが、問題はここからだ。
半押しで、露出とピントの両方がロックされるため、ピントは合っているが露出は違っていたり、その逆もある。これも一般的デジカメにも共通する仕様だ。
そのため、このカメラには独立したボタンやレバーが左手側に用意されている。
レンズの先端近くにAFとマニュアルの切り替えレバーがある。AF撮影中、合焦した状態を維持したい場合は、このレバーをマニュアル側へスライドさせればよい。別にマニュアルリングでピントを合わせることはない。マニュアルモードに入ることで、その位置で、ロックされるので、その値を貰えばよい。
これで、ピントは動かなくなるが、ピントリングを回すと、動いてしまうので、注意が必要だ。
この状態で、シャッターボタン半押しで露出だけがロックされるので、アングルを変えても露出は変わらない。
また、どうしても写したい被写体が、好みの明るさや暗さにならない場合は、代理測光すればよい。
空を向けるとか、暗い場所に向けるかすると、ファインダーで、明るさが確認出来るので、そこで半押しにする。
ロックがかかるので、構図を決め直して写せば、ピントや露出を、好みの状態に持っていける。
その時、AFロックボタンを押せば、シャッターボタン半押しという窮屈なことをしなくても、このAFロックボタンを押した後、シャッターを切り終えるまでは、ロックがかかった状態を維持してくれる。
当然露出補正もあり、アングルを変えないで、ジョグダイヤルで変化させることが出来るので。
このあたりは、カメラ操作の癖が個人により違うので、どんな癖の人でも、それが出来る仕掛けを持つデジカメが好ましい。更に言えば、どのパターンを利用しても、操作性が良いことだ。
シャッターボタン半押しで、全ての補正を瞬時にするのが、最も素早いのだが、光線状態や、被写体の位置などで、半押しだけでは無理なシーンも出てくる。露出関係やホワイトバランス関係も、他のデジカメに乗っているようなものは、ほぼ網羅されている。
多機能カメラになるのはデジカメの特性というより、デジタル物の特性だろう。
同じことをするにも、何種類かの選択肢があり、過程の違いがそこにある。
自分の好みとする過程を選択すればよい。
このカメラは、殆どの過程を網羅しているので、自分の写し方の道筋をスイッチやレバーや、初期設定で決めればよい。スポット測光、中央部重点測光、評価測光と、三つの測光方法を選べるが、一番イージーなのが評価測光で、このカメラの初期値でもある。
この三種類は、デジカメ以前からあるので、従来カメラからの引き継ぎだろう。
この他に平均測光もあるが、このカメラの選択肢にはない。平均測光は露出が合いにくいことがあるので、一般カメラのオーソドックスな測光方法は平均測光の改良型という感じで、中央部重点平均測光という長い名前になっている。
一般撮影ではデフォルトの評価測光が好ましい。
評価測光は画面の中に光源が入っていても、それが画面の端っこだと、主要被写体ではないと見なし、引っ張られないような露出が得られる。
スポット測光はマニュアル露出などで、じっくりと合わせる時に向いている。
画面の中央部の狭い範囲だけを測るため、AEロックで露出だけを得るような使い方になる。
スポット測光でプログラム撮影をすると、AEロックを忙しく使わないと、中央部の影響を貰い過ぎる。
逆光などで、背景をカットして、主要被写体だけの露出を得るような使い方になるが、評価測光は、それを自動的に演算してくれる。しかし、構図や、他の周囲との兼ね合いで、型通りの評価をしてくれるとは限らない。
しかし、デジカメの恩恵で、その評価の答えをモニターで確認出来るため、露出の心配は薄らいでいる。
明るすぎると白飛びするのがモニターで分かるので、露出補正で調整したり、好みの明るさになるまでカメラを振って探し、そこで、AFロックボタンを押して止めればよい。
暗く写ってしまった場合の方が、あとでレタッチソフトで修正しやすいが、白飛びはデータそのものが入っていないので、修正がしにくい。白い紙を白飛ばししてしまった場合、灰色には出来るが、その白い紙に書かれていた文字は浮かび上がらない。
いずれも反射光式露出計での話なので、その短所はあるが、モニターで確認出来ることで、大きな間違いはないはずだ。
反射光式露出計は白い物を灰色に、黒い物も灰色になり、それが適性露出とされる。カメラ側から見た適性露出で、この基準は絶対的なものではない。黒い壁が灰色に写っては困ることもあるが、黒い壁の細部を写したい場合は、問題はない。
また、黒い壁にも任意の反射率があり、必ずしも灰色になるとは限らない。
また、実際の撮影では黒い壁だけが画面内にあるとは限らないので、ほどほどの反射率のものが、平均的に混ざりあって、見た通りの濃さになることもある。この値は入射光式露出計で得た値と近い。
だが、そんな苦労をしなくても、モニターを見れば分かるので、露出の読みちがいは避けられる。
だが、写真の露出はどうして決まるのか、などの癖を理解している方が、カメラが勘違いすることを予測出来るし、場合によっては、カメラの勘違いを利用して、敢えて補正しないで、そのまま写すこともある。
デジカメのデジタルデータは絞りやシャッターや感度まで記録されているが、その現場の情報は、写したものの記憶にしか残っていない。
よほどその場所は明るい場所だったのか…と意外な露出データを見ながら、推測するしかない。AFは測距窓のデフォルトはワイドエリアで、左、中央、右に小窓が表示される。合焦すれば窓の線の色が変わるので分かりやすい。
ジョグダイヤルで、さらに多く測距窓を移動させることが出来る。構図を変えないで任意の箇所で合わせられるように出来ているが、AFロックで得る方が素早い。しかし三脚を立て、カメラを振りにくい時には、重宝するだろう。
主要被写体が、画面の中央になく、カメラを振ると、相手に気づかれる時にも使える。
つまり、あらゆる状況に応じて、それなりにカメラ側は用意してくれている感じだ。
多様な使われ方に対しての対応力のあるカメラだ。
実際には、その中の一機能しか使わないことが多いので、すべての機能を使い切るようなことはないはずだ。
それぞれの人が、それぞれの癖を持っており、セオリーを持っている。そして、それぞれの機能が、使いやすく、どれもがメイン撮影方法になりうるあたりが、このカメラの素直さだ。
こういう使い方にふさわしいカメラというのではなく、使い方に合わせて、選択出来るカメラだ。本格的に写真を写すための機能が充実している。
従って、これから本格的に写真をやりたい人にお薦めだ。デザイン的には妙な形をしているが、カメラとしては正統派路線が敷かれている。見た目以上に真面目なカメラで、操作性も満足を得るものだ。
それはカメラの大きさとのバランスが良いためで、大きくした方がよい箇所は真面目に大きい。コンパクトに押さえ込むことさえ考えなければフルサイズの操作感を得られるということだ。
デジカメ売り場などで見た場合、確かに妙な形で、しかも大きく重いのだが、屋外に出ての実戦では、この大きさ重さと、この固まりがちょうどよい。
肩からぶら下げても、手で握っていても存在感がある。
ファインダーを覗いた時、安心して写せる。と、いうより、通常の一眼レフカメラでの写し方と変わらないため、見た目以上に撮影中は普通なのだ。
しかし、このカメラには暗視カメラ機能や、2400もの感度アップ可能なハイテク性が隠されており、通常撮影での延長線上で、写せる範囲を広げてくれている。
つまり、目玉のナイトショットも、日常的撮影での拡張なのだ。
レンズ交換式デジカメよりも、レンズ交換時にほこりが入ったりしない一体型の方が、単品性のメリットの方が大きい。
そのボディーに合わせ、そのレンズに合わせたカメラバランスが備わっているからだ。
当然そのレンズに併せた画像処理もなされているはず。しかもレンズは明るく、安価である。
もしこのゾナーレンズが単体で売られていれば、どんな値段になるのか想像出来ない。
交換レンズは、単価が高くつくように思われるし、その割りにはズームレンズのズーム比も低く、レンズも暗い。
昔の一眼レフカメラの交換レンズの時代に引き戻されてしまうスペックだ。
デジカメは3年も持てば、長く使っていたことになる。パソコンと同じで買い替えて行くものなのだ。