川崎フォトエッセイ  その99      ←前 次→  HOME


 埋め立て地から見る海は、殺風景である。それは見ている位置が、そもそも海だった場所に土を盛ったためか、周囲が人工的なのだ。また、埋め立て前なら、海の上から海を見ている位置関係になるのだ。

 すぐそこに海があっても、工場とかの敷地になっているため、海岸までは行けない。やっと出ることができても、そこから見る海は、プールのような海である。

 そんな場所で、海を見ようなどと思わないことだ。単に観賞するだけなら、それにふさわしい場所から見ればいい。

 逆に山は削り取られている。中腹どころか頂上付近まで宅地化され、山の端が変わるほどだ。その土が海に来ているのだ。

 昔山だった場所に住む人も、昔海だった場所に住む人も、特別な人達ではない。普通の人々が、普通の生活をしている。そして何十年も経過すれば、馴染んでしまうだろう。