川崎フォトエッセイ  その113  町名    ←前 次→  HOME


 町名や地図は、現実に存在する場所を教えてくれる。でも町名変更などがあった場合、地図にリアルタイムに反映されるわけではない。この間、タイムラグがある。

 だから古い地図を頼りに、現実の街を訪ねても、地図通りの現実は展開していない。新しい建物が建ったり、古い建物が消えていたりしている。しかし「何丁目何番地」の場所はそのままである。その土地の上が変化しても、町名変更されないかぎり番地は存在する。

 その地図とは別に、個人的な地図がある。たとえば僕は三丁目に住んでいるが、町名で把握していないのだ。線路の向こう側とか、コンビニ近くとか、駅の南とか、古墳の下とか、郵便局の近くとか、そういった感じで把握しているのだ。

 プライベート地図(頭の中の記憶)と、本物の地図を照らし合わせてみると、前者がいかにワンポイント的で観念的かがよく分かる。

 同じ距離でも、心理的な距離が加わったりするのは仕方のないことだ。