川崎フォトエッセイ  その233  入り込む    ←前 →次  HOME

 人は、いろいろな場所へ出入りできる。または通過できる。特定の人だけが出入りできる場所が、同時に誰でも入り込めることもある。これは特定の人か、そうでないかをチェックする機能がない場所で当てはまる。

 マンションの、あるフロアの廊下とかは、一般の人はまず用事がないので、通過するようなことはまずない。たとえ通り抜けられる廊下でも、通る意味がない。あるとすれば、セールスなどの任意の目的を持った人達だ。

 よく考えると、そのマンション自体が、巨大な人の家なのである。従って出入りできる人間は限られている。それでも、そこに入り込めるから不思議だ。

 正しい目的、たとえば入居者宅への訪問とかがあれば、そこで人と出くわしても、怪しまれない。まさか、マンションの廊下を散歩するのが趣味で、今日も歩いてますとは答えられない。

 市街地にはこの種の空間が多くなった。平面的な町に長く暮らしてきた人種は、慣れるまでが大変だ。