常に自分が自分の意志である方向へ向かっているわけではないことぐらいは知っている。しかし、向かっているのか向かわされているのかの判断は曖昧だ。向かわされていたとしても、いつの間にかそれを自分の意志として取り込んでしまっている場合があるからだ。そう思ったとき、それは意志と言える。
受け入れないと生きていけない他者の意志があり、そちらへ向かわないと自分の存在が危うくなる。すべて受け入れているわけではなく、納得しかねない状態でも、その他者の意志を遂行するパターンは、どこかぎくしゃくしている。
好きでやっていることではない場合、その途中で別のものと衝突した場合、対応もあらっぽくなる。本来の自分ではないという思いから、誠実さが乗らないのだろう。
とはいうものの、そういったものがごちゃ混ぜになった状態で、人は何らかの方向へ向かって歩くしかないのだ。