川崎フォトエッセイ  その276  手間暇    ←前 →次  HOME


 手間暇をかけて作った商品は、それだけ値段が高くなる。原料や材料が安くても、それを完成させるための時間が多くなると、商品の値段はほとんど手間賃となる。

 手間のかかった細工物とかを見ていると、人間らしさを感じる。つまり、その行程を想像することにより、人の手の息吹が伝わるからだ。

 たとえば、一枚一枚煉瓦を積み重ねたビルの壁を見ていると、工事現場の光景が浮かんできたりする。ところが、煉瓦の絵を印刷したようなタイルだと、本物ほどには手間はかからないはずなので、見方も軽くなる。しかし、石組みの建物を見ると、煉瓦造りが軽く見えるが……。

 どちらにしても人が丁寧に作ったものは、大事にしたくなる。簡単には作れないだけに、壊したら大変だからだ。  最近は壊しても罪悪感が軽くなったものが増えすぎた。