川崎フォトエッセイ  その307  障壁    ←前 →次  HOME

 塀は乗り越えることができそうだが、壁は目の前を塞がれている感じがあり、いわゆる「立ちはだかって」いる。

 壁は無機質的な遮断で、いくら話しかけても、通じない感じがする。精神的にも肉体的にも、立ちはだかった壁への対応は困難だ。

 困難だからこそ、壁なのだ。そして、その壁を乗り越えれば、価値あるレベルに移れると思ってしまう。または、今の状況を打開してくれる展開を期待してしまう。

 まだ見ぬ壁の向こう側は、幻想に包まれている。もし壁がなければ、向こう側が見えるし、行ける。だが、今の現実と、それほど変わらない世界かもしれないし、下手をすると、とんでもない世界かもしれない。

 自分自身の現状での限界点を壁とも言う。可能性として、その壁をうち破れば、新しい展望や、新たな領域を我がものにできる。

 もしその壁が、精神的な壁なら、別のことをしているうちに、いつの間にか、消えている場合もある。